米ビリオネア「スパンクス」CEO サラ・ブレイクリー

2012年一代で富を築いた「セルフメイド・ウーマン」にランクイン以来、久しぶりに話題になったと思ったら今度はビリオネアクラブに仲間入り。先日も会社の従業員約500人全員に世界どこへでも行けるファーストクラスの航空券2枚と100万円を賞与したことでも今大話題の人物、アメリカ「スパンクス(Spanx)」CEOサラ・ブレイクリーをご紹介。

サラ・ブレイクリーが設立した「スパンクス」は補正下着(シェイプウェア)メーカー。先日、アメリカ大手投資ファンドのブラックストーンが株式の過半数を購入することで合意を発表したことが大きくニュースに取り上げられており、その評価額はなんと12億ドル(約1360億円)。

「スパンクス着れば大丈夫よ」とアメリカン女性のファッションでは「ストッキング」のように定着している「スパンクス」は実はブレイクリーがファックス機を売って稼いだ全財産たったの50万円からはじまったベンチャーでした。

ファックス機訪問販売で稼いだ50万円つぎ込んだ。

フロリダ州立大学を1993年に卒業後、フロリダ州のディズニーランドに就職していたブレイクリーはその後、地元の文具店に就職し、ファックス機を訪問販売していた。

高温で蒸し暑いフロリダ州でドアからドアへとノックして歩き回る訪問販売。ブレイクリーはオープントウ(つま先がみえる靴)でも履けるつま先の縫い目のないストッキングを探していたが見つからなかった・・・そこでつま先部分を切ってみた。

また、ある時はパーティに出かける際に着ようとしたクリーム色のパンツの下に身に着ける従来のフィット感のきつい補正下着を着用していては逆に太ももあたりに変なラインが目立ち、あまり役目を果たしていないと気付いた。

そこでちょっとシェイプウェアのような効果もある引き締めストッキングのひざ下からばっさり切ってストッキングをシェイプウェアのようにはいてみた・・・でも切った部分からくるくるっと生地が巻き上がってしまってなかなかうまく着こなせない。

そんな実体験からブレイクリーは試作品を自分で作って家族や友人に試着をしてもらった。

「世の中の女性にとってこれは必要!」

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誰も相手にしてくれない

「世の中の女性にとってこれは必要!」

と確信したブレイクリーは50万円の貯金を手に持って当時のアメリカのストッキング製造業者のメッカであるノースカロライナ州に乗り込んだ。

いくつものストッキング製造業者を当たったが「足の部分のないストッキング?」の試作品製作に協力してくれる人はいなかった。

Cottonbro

同時に、ブレイクリーはこのアイデアは特許化しようと決心。特許事務所に駆け込むも費用は50万円・・でもブレイクリーの総財産が50万円。費用が高すぎて頼めない。

しょうがなく「特許と商標」という本を買って自分で特許を書いた。そしてかけるところまで書いて専門家でないと書けない部分だけを$700で引き受けてもらった。

そうしているうちに一度は断られたストッキング業者の男性担当者テッドから連絡があり

「クレイジーな製品だけどつくってみるよ」と。なぜ考えなおしたのかと理由を聞くとこの男性、二人の娘がいて、娘にそのクレイジーなアイデアをシェアすると「そんな商品が欲しかった!」と騒いだと。

「カッ」と発音する商品は売れる

プロトタイプもできて、さてパッケージング。

でもパッケージデザインなどしたこともなかった。でもグラフィックスを勉強した友達がいたことを思い出し連絡。パソコンでパッケージをつくってもらった。

パッケージの色は「真っ赤」。

ビジネススクールにもいったことがなければマーケティング授業もとったことがない。どうやって消費者マーケティングをするのかもわからない・・・だけど自分の直感で好きなものと嫌いなものははっきりわかる。

これまでのグレーやベージュのストッキング製品と並んでもはっきり目立つ真っ赤なパッケージングを採用した。

https://spanx.com/pages/about-us
spanx社ウェブサイトより当時のパッケージ

そして製品の名前は「スパンデックス」Spandexと名付けた。

当時世界的なブランドといえばコカ・コーラ、コダック。どちらの名前も「カッ」(Kの発音)という発音が目立った。そして、いつかよんだ記事を思い出した。「コダックの創設者はKの音がとても好きだったので、単語の最初と最後に「k」を付けて、あとはアルファベットを真ん中に入れてコダックという名前をつくった」と。

Kの発音をいれてSpanks(スパンクス)も考えたがSpanxにした。何故ならksではなくxのように造語でつくられた製品名の方がよく売れるとどこかでもよんだことがあったし、商標登録も簡単そうだったから。

アメリカ特許庁のウェブサイトでクレジットカードで$150支払い「Spanx」を登録した。

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売り込みは高級デパートのトイレ

2000年ブレイクリーは自宅アパートで Spanx(スパンクス社公式ページ )を設立。

売り込み先はもちろん大手リテーラーだった。

アメリカ大手デパートのニーマン・マーカス。やっと取り付けた高級デパートとの商品売り込みミーティングはトイレ。

なぜならスパンデックスを自分で実際に身に着けてその「効果」をみせたかったから。

そのミーティング後7箇所のニーマン・マーカスで取り扱いが決定、その後競合デパートらも続々続いた。

同時に消費者に多大な影響力をもつアメリカのエンターテインメントビジネスウーマンのオプラ・ウィンフリーにスパンクス製品を送り、発明を紹介。結果スパンクスはその年の「オプラのお気に入りの商品」にランクイン。全米に幅広く紹介され、人気商品に。

スパンクスは「ストッキング」と並ぶ一般的な下着の種類として取り扱われるようになった。

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ビリオネアクラブ入り、社員にはファーストクラス旅行プレゼント

2021年シェイプウェア業界にはSkims, Shapermintなど次々と競合が誕生。この盛り上がるシェイプウェア市場に投資をとアメリカ大手投資ファンドのブラックストーンがスパンクスの株式の過半数を購入することを発表。その評価額はなんと12億ドル(約1360億円)。

50万円からはじまったスパンクス、このマイルストーンにブレイクリーは従業員とパーティーでお祝い。そしてサプライズギフトを公開した。

全社員世界どこでも行きたい場所へファーストクラス航空券2枚とお小遣い100万円

サラ・ブレイクリーがアプロードしたインスタグラムでは信じられない!と大喜びのスパンクス従業員の様子(と歓喜の悲鳴!)が覗える。

サラ・ブレイクリーのインスタグラムより

今後スパンクスは激化するシェイプウェア市場でレギンスやスポーツブラなどのアスレジャーウェア展開でシェア拡大を目指す。

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