キューピーマヨネーズは近年アメリカでも大人気。
多くのアメリカンも「キューピーマヨ(英語発音はキューピーメヨー)」「ジャパニーズメヨー」と商品を知っていて、日本と同じように調味料として美味しくいただいています。
従来のアメリカのマヨネーズは青色デザインでプラスチックタブに入って販売されているのであのキューピーメヨーの柔らかいスクイーズボトルと真っ赤なキャップとかわいいキューピーロゴはアメリカの商品棚でも目立つ存在。
しかし、そのキューピーメヨーについているあのかわいいキュービーちゃんロゴ。
アメリカでは事情により変更されざるを得なくなりました。
マーケテイングにはアメリカ社会背景、文化を十分理解すること
アメリカ進出する際、広告や資料をローカライズする際に英語が分かりにくい、おかしな英語になっていないかと確認することはもちろんですが、アメリカの近年の社会的傾向や、宗教的意味合いなど他民族国家ならでは他方の目線から厳しく吟味して会社名やウェブサイトアドレス、ロゴ、商品名を考えることは必要不可欠です。なぜならこれを怠ると、訴訟対象にもなりうるからです。アメリカ消費者は強い、そしてアメリカは訴訟大国・・・。
日本で「ウケる」面白いネーミングもアメリカでは性別、男女、格差、民族、宗教差別とみなされることもあり。
ただ「おかしい英語」だけではすまなくなることもあります。
キューピーマヨネーズちゃんのロゴがアメリカでNGな理由
さて、それではキューピーマヨネーズちゃんのロゴがアメリカでNGな理由とは何だったのでしょうか。
問題となったのは2つの理由から
キューピーちゃんが裸であること
イスラム教で禁止されている偶像崇拝に反すること
キューピーちゃんは裸であってはいけない
キューピーちゃんは天使のようなお腹ぽっちゃりの赤ちゃんのようにみえますが、この赤ちゃんが「裸」であることが多くの消費者の気を害すのだとか。企業がロゴ変更にまで至ったということは相当の影響があると把握されているのでしょう。
アメリカでは多くの児童に対する性的犯罪が起こっていたり、一部の宗教的思想ではこの「裸」のロゴが淫らなものだと考えられたりと多様な面から消費者の意見がとても敏感。子供や消費者に悪影響と「考えられる可能性のある物事」についてはマーケティング担当者は最新の注意を払い、使用を避けます。
今回新しくなったキューピーちゃんは今までのにこやかな笑顔はそのまま、体部分はかくしてあります。
キューピーちゃんは「偶像崇拝」にあたる
これはキューピーマヨネーズがマレーシアでハラル認証を取得する際に問題として挙がったものだそうですが、イスラム教では「偶像崇拝」は禁止されており、小さな天使の羽がついたこのキューピーちゃんは「天使」、つまり「偶像」としてみなされるとのこと。今回の新しいロゴでは「天使」にみえないように上半身のみのキューピーちゃんが元気よく手をふる子供のようにみえるロゴになりました。
日本ではお昼のクッキング番組でもおなじみ。長年愛されてきたイノセントにかわいいキューピーちゃんロゴですが、アメリカでは社会的、宗教的反響を元にリニューアルされることになりました。
日本企業だけではない、アメリカ企業も対応に追われる
キューピーメヨーのみが海外企業だからと厳しい意見を浴びたわけではないのです。
アメリカでは近年高まるアメリカ先住民族の文化保護、人権保護の観点からプロスポーツチーム「ワシントンレッドスキンズ」がこの何十年使用してきたチームロゴやチーム名がアメリカ先住民族差別にあたる(レッドスキンが差別用語)として使用禁止となり「ワシントンコマンダーズ」と改名。チームロゴもアメリカ先住民族の頭飾りをつけた戦士のロゴから「W」一文字のロゴに変更。
また、メープルシロップについていた「おばあちゃん」のロゴがアフリカンアメリカン系黒人奴隷時代を思わせると消費者からのクレームにより変更されたりしています。
繰り返しになりますが、日本ではOKなロゴや会社名もアメリカの社会背景からはとんでもないNGという場合も多々ありますのでアメリカ進出の際は是非、そういった背景、文化的影響も含め慎重に選択してください。
Image by Peggy und Marco Lachmann-Anke
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