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  • Writer's picturePrism ラスベガス

「ロビンフッド」アプリが引き起こした悲劇

ソーシャルネットワーク、話題のアプリといろんな便利で楽しい世界が広がるこの頃。シリコンバレー初の様々なサービスが日々生まれています。

一晩で火が付いた!あっという間に一躍話題に!

とシリコンバレードリームが生まれるのもまれではありません。

でもその目まぐるしい速さで飛躍する自社のサービス人気に追いつけない会社も。

その結果QAやユーザーへのカスタマーサービスが行き届かず、悲劇を招いてしまう。

テクノロジーサービス提供者として考えさせられる事件が起きてしまいました。

弱者の味方?「ロビンフッド (Robinhood)」

アメリカではフィンテックアプリが大人気。手軽に投資が始められるトレンディーなアプリ「ロビンフッド (Robinhood)」がシリコンバレードリームをつかみ大人気に。

手数料無料のスマホ株式ブローカー。投資が初めての人でも簡単なサインアップ、クイズに答えるだけでお手軽に投資が始められるという投資アプリ。

アマゾン、ズームに並んでコロナに負けず勝ち組になった会社ともいわれているほど人気アプリ。(コロナ中自宅でスマホから投資を始めた人が多数続出)

ロビンフッドの人気により投資知識が「ゼロ」のユーザーでもかんたんにアプリでお小遣い稼ぎができるようになり多くの初心者が投資を初めました。

写真:cottonbro from Pexels

初心者が簡単に投資・・ある日「-$750,000(-約7500万円)」

アプリの手軽さに高校生の頃から投資を始めていた投資知識ゼロの初心者20歳のアレックス・カーンズ君。他の多くのユーザーのようにロビンフッドでお手軽に投資をしていました。

貯金をしようとロビンフッドを始めたアレックス。その元のお金はおじいちゃんおばあちゃんからもらったお小遣いとライフガードのアルバイトで稼いだお小遣い。ロビンフッドを利用し始めてから順調に投資をして一時50万円の貯金ができていました。

ところがある日、ロビンフッドはアレックスのアカウントに規制をかけ、アカウント画面に「-$750,000(-約7500万円)」の文字が!

そしてその夜ロビンフッドからEメールで

緊急に対応が必要です 数日以内に$170,000(約1700万円)をお支払いください」と。

写真:Werner Moser from Pixabay

電話番号なし、Eメールするが・・・自動応答。

これをどうにかしないと!とアレックスはロビンフッドにコンタクトをする。

ロビンフッドにはカスタマーサービスの電話番号がなかったので、アレックスはその夜遅くと翌朝に3回サポートアドレスにメールを送信。

「何が起こったのか説明してください」

「別の取引で損失を相殺できないですか?」

「何か間違った操作が起こっているのではと思うのですが誰か調べてもらえないですか?」

・・・・・帰ってきたのは自動応答メール。

「サポートチームにお問い合わせいただきありがとうございます。できるだけ早く対応できるよう努めておりますが、お返事が遅れる可能性があることをお知らせしたいと思います。」

写真:cottonbro from Pexels

もう、どうにもならない、おしまいだ。

そしてこの日

ロビンフッドからの説明もなく、7500万円もの借金を背負ってしまったと思ったアレックス君は自ら命を絶ってしまいました。

その翌日、アレックスのメールアカウントにはロビンフッドからの自動メールが

「グレートなお知らせです!あなたのアカウントの規制は取り除かれました!質問があればいつでも連絡してくださいね!喜んでヘルプします。」と。

結局、アレックス君は7500万円の借金は背負ってはいませんでした。

写真:Holger Langmaier from Pixabay

カスタマーサービスで何か説明があればアレックス君はまだいるはず。

ロビンフッドは新しい投資家(初心者ユーザー)を登録するために急いで無謀なビジネス拡張を行ってきたのではないか。ゆえに誤った情報の表示をしてしまい、死を招いてしまった。

初心者相手が為にしっかりとしたカスタマーサービスを提供すべきだった。

一方では投資をした際アプリ上でお祝いのクラッカーがパーンとなるのだが、これは初心者ユーザーにゲーム感覚で危険な投資をさせてしまうのでは。また一部団体の調査ではそもそも投資アプリ自体を利用させるべきではない人たちが利用できてしまっている、という批判もでてきている。

今回のアレックス君の件でロビンフッドへは厳しいい目が向けられ、調査も入り今後改善が期待されるようですがテクノロジーサービスを提供する側として、ユーザー獲得!と走り切る前に一度ユーザーケアを考えるべきだと改めて気づかされる悲しい事件でした。

写真: Wokandapix from Pixabay

2021年7月アップデート

2021年3月:ロビンフッドはIPO目指し申請

2021年4月:マサチューセッツ州証券監督当局より投資家(消費者)保護を怠っていると免許取り消しを求める訴えを起こされている

2021年6月:金融取引業規制機構(FINRA)はロビンフッドに約63億円の制裁金支払いを命じ、著しい損害を負ったユーザーらに約14億円支払うことで合意。これでロビンフッドは合計約77億円の制裁金、和解金を支払うことに合意した。また、この過程において、不明確で誤解を招きやすい情報により顧客から徴収していた約8億円もユーザーに返還する予定。(このブログにある青年の自殺の引き金になってしまったような誤った情報もこれらの対象となる)。

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