Prism ラスベガス
アメリカ「大学入試なし」新しいZ世代が就職へ
Updated: Feb 2
今回はアメリカ学生のお勉強背景事情についてお届けします。
前回は今後数年以内に就職するアメリカ学生のキャリアに対する意識調査の結果をお届けしましたが、そんな学生さんたちはどんな環境で学生生活をおくってきたのでしょうか。
学生としてのキャリア背景は就職時、入社後も、これらのジェネレーションZ社員を理解する為にとても役立ちます。是非、今後の採用や今後入社してくる新しいアメリカン社員の理解を深めるために役立ててください。
オリジナリティと自己主張
アメリカの学生は幼少から「オリジナリティ」を大切に教育をされてきています。
多くの民族やカルチャーがまざって形成される社会で生き行く中で子供達は「自分」というブランドを大切にするよう育てられています。
まわりとの協調性を重んじて目立たないようにするのではなく、自分というものを確立させて個人としてしっかり自分のポジションを確保するのです。
実際、友人が先生をする幼稚園でも園児たちは「私はこんな人」というプレゼンテーションをしているそうです。大きな画用紙に自分の名前や呼んでほしいニックネーム、好きな動物や、星座など、周りに知ってほしい自分について発表をするそうです。
そんな教育背景からでしょうか、よく大人になっても自己紹介で日本だったらドン引きされるほど自分について演説をするアメリカンもよく見かけます・・・。ほどほどがよいですね。
「個性がゆたか」「オリジナル」思想を持つ方が多いのです。

Photo by Andrea Piacquadio
選択肢がたくさん、自分にピッタリを選ぶ環境で育った
オリジナリティを重視するアメリカでは学校教育の過程でも生徒個人が自由に選べる選択肢がとても多いのです。
例えば学校での課外アクティビティをいくつかのオプションから選んで参加できたり、遠足や学校からの旅行の参加不参加を選択できたり。小学校高学年頃からはすでに授業は選択制になっていることも多くあります。自分にあったものを生徒自身が選択するのです。
学校でも決まった授業をみんなで同じクラスで学ぶということはまずありません。小学校高学年になるころにはアート、音楽系、数学系、文系、スポーツ系と学生それぞれの個性的な傾向がはっきりみえてきます。(これの問題は・・・日本の学校で学んだ学生が必要最低限の基本的知識を習得しているのに対し、早期に個性化をはかるアメリカの学校で学んだ学生の中では基礎知識に偏りがあるということ。)
ちょっとわがまま?に見られることもありますが、
専門性が高い人材が多く、本人たちも自分に必要な物ごとはしっかり把握しています。
なんでもコミュニケーションで解決
アメリカンは小さな子どもの教育でも「叱らずコミュニケーションをとって解決」とすることが多いのです(もちろん家庭にも、シチュエーションにもよりますが)。子供がルールを破ったら「なぜルールを破ったのか」と子供に問いかけ、罰を下すべきかなどまで子供とコミュニケーションをとりながら話し合います。
異議があればコミュニケーション。
物事は「コミュニケーションで解決」することを教えます。
学校の授業でも回答するだけれはなく「なぜ」その回答を選んだのかと必ず聞きます。
そんな背景で鍛えられてきたアメリカンは自分の意見や意思をコミュニケーションすることを好み、得意とします(もちろん個人差あり)。反対に一方的な「決定」を受け入れることができない、またはそういった決定事項に拒絶反応を起こす・・・といった傾向もあります。

Photo by Christina Morillo
ソフトスキルで勝負、試験や点数で査定されない
1~4でお伝えしたように多くのアメリカンは(自分なりに)「自分」を把握していて、オリジナリティが豊か。また、様々な選択肢が提供されているフレキシブルな環境で育ってきています。
そして、お得意のコミュニケーション能力でそんな環境の中で自分にぴったりな物事を追求してきました。そんなソフトスキルを磨いてきたアメリカンを囲む環境は近年ますますソフトスキル重視に。
なんと「大学入試」がなくなりつつあるのです。
以前は大学に入る際、ある程度統一試験の点数が合否判定の材料とされていましたが、近年では学校や大学での統一試験やテストも廃止の傾向が始まり、試験の点数で大学入るのではなく学生時代の経験やエッセイや面接、推薦などでのソフトスキルをベースに合否を決定する大学がふえてきました。
2020年春以降、ハーバード、コロンビア、コーネル、プリンストンなどのアイビーリーグを含む全米の多くの大学は、学生の出願に際しての標準テストの要件を停止しています。要件を完全に廃止した大学もあれば、SATやACTのスコアによってより魅力的な受験生になれると感じた学生のために、その判断を任意として残している大学もあります。
カリフォルニア州では2022年12月現在、州内全ての公立大学で入試判定に際して統一試験の提出要件がなくなり、学生はいわゆる大学入試をうけなくてもよくなっています。

Photo by Yan Krukov
まとめ
もちろん個人さはあり、世代によっての差も多少あります。また他民族国家が故に民族背景によっても違いがありますので一概にアメリカンはこんな背景でそだったんです、とはいえませんが、一般的にアメリカで学校教育をうけてそだってきた人々には日本とはちょっと違う背景があります。
こういったちょとした違った視点からの情報はこれらのジェネレーションZ社員を理解する為にとても役立ちます。
是非、今後の採用や今後入社してくる新しいアメリカン社員の理解を深めるために役立ててください。