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  • Writer's picturePrism ラスベガス

アメリカ大手企業のマーケティング大失敗例

5月1日、アメリカの大手コスメショップ「ULTA(アルタ)」がその前日に配信したマーケティングメールに関する陳謝メールを配信。この話題は一斉にして全米に知れわたり、トップ各紙で取り上げられています。

アパレルブランド「Kate Spade(ケイトスペード)」の香水コレクションの発売を機に顧客にニュースレターを配信したULTA(アルタ)はそのメール表題に

「Come hang with Kate Spade(ケイトスペードとハングしよう)♡」

とハート絵文字付きで記載。英語でhangとは「一緒に時間を過ごす」という意味もあるが、「首吊り」という意味もある言葉。「come hang with 〇〇」とはよくマーケティングメールでも利用されており、一般的には何の問題もないメッセージ言葉。だが、今回は決して利用してはいけなかった。それはなぜかというと・・・

Kate Spade(ケイトスペード)ブランドの創設者だったケイトスペードさんは2018年長く不安やうつで精神を病まれた末、自身の首を吊り亡くなっており、この悲しいニュースはトップニュースとして当時全米に報道された。よって今回は「ケイトスペードと一緒に時間を過ごそう♡」、とは誰にも読めなかった。

翌日、自社の顧客、ケイトスペードさんご家族に陳謝メールを配信するも、アメリカ各紙では大きなニュースに。また、内容の深刻さから各紙はこのアルタのマーケティング大失態報道の記事と共に、自殺防止ホットラインの番号を掲載し、周りで何か気づいたらホットラインへ連絡をするようにというメッセージも掲載している。

ケイトスペードさんのことを知らないコピーライターさんが知らずのうちに書いてしまったものなのか、原因はどうであれアルタの大失態となった。

Photo by Vie Studio

大企業のマーケテイング大失態は過去にもたくさんあります。

今回は大企業による失敗例を元にマーケテイング、宣伝活動のファクトチェック、社会背景チェックの重要さをお伝えします。

広告が人種、性別差別に・・・・

Dove(ダヴ) ボディウォッシュフェイスブック広告

2017年ダヴはフェイスブックで4つの女性がシャツを脱ぐパネル写真を掲載。最初の3つの写真ではアフリカ系アメリカ黒人女性がTシャツを脱いでいく姿が写っているものの4つ目のパネルには白人女性の写真が・・・・。

商品利用者のダイバーシティの豊かさを描写しようと多人種を採用したものの、結果的にボディーウォッシュ使用でアフリカ系アメリカ黒人女性から白人女性に変わる・・・といったとんでもない広告に。

マーケテイング会社の公表はありませんでしたが、深く謝罪を発表しました。

ソニープレイステーション、人種差別コマーシャル

2006年に放送された、プレステのホワイト色発売の該当広告。これまでのブラックに追加でホワイトも発売!ということを強調しようとこの該当広告に描写されたのは・・・白い髪の白人女性が黒人女性の顔をつかみ威嚇をする様子。その横にはパンチライン「Play Station Portable. White is coming(プレイステーションポータブル。ホワイトがやってくる)」と一言。

「白と黒の色のコントラストを見せるだけの為にこのような描写にした」というコメントもあったようですが。アメリカの人種差別の歴史を甦らせるような描写に大避難。

iamges from https://money.cnn.com/blogs/browser/2006/07/sony-psp-ads-spark-cries-of-racism.html

アウディ、結婚式コマーシャル

中国で放映されたが世界的に女性差別と非難をあびたこのコマーシャル。神父様の前で結婚を誓う花嫁・花婿にずかずかとよって来て花嫁を吟味する花婿の母。鼻をつかんだり、唇を引っ張ったり、耳を引っ張ったり、歯並びをみたり・・・。結局その母親は「OK」と手振りをして母親の承諾を得た2人はホットして結婚する。そしてコマーシャルの最後の締めくくりは

「An important decision must be made carefully」

(大事な決断は慎重にしなければならない)

コミカルに描かれているこのコマーシャルですが、、、この女性を客体化し、女性の価値を車の購入に例える差別感が問題に。。結局ユーモアを超えて差別コマーシャルになってしまいました。

タイミングを間違えた大変な大失態マーケティング

Airbnb(エアビーアンドビー)水上に浮かぶ家

Airbnb(エアビーアンドビー)もタイミングを間違え大失敗。

民泊で一世風靡のエアービーアンドビーは「floating world(浮いてる世界)」をイメージテーマにしたキャンペーンを開始した際、水面に浮かび上がるような水をテーマにした家の画像を採用。そしてキャッチコピーには「水上にとどまろう」「水上に浮かぶような家で生きる」とあった。一見幻想的なイメージの良いマーケティングキャンぺーンに思えるが・・・。

タイミングが悪かった。なんとこのキャンペーンはアメリカでハリケーンハービーがヒューストンを飲み込み、多くの犠牲者を出していた2017年8月28日に発表され、水災害で人々が苦しむ中のこのキャッチコピーは大避難をあびた。

image from medium.com https://medium.com/@praveensivakumaresan/airbnb-stay-above-water-4d515e9ad1d0

アディダスが配信、ボストンマラソンEメール

2017年にボストンマラソンに参加したランナーたちは大手スポーツアパレルメーカーのアディダスからから非常に受け取りずらいEメールを受け取った。

ボストンマラソン後に送られてきたEメールの表題には「Congrats, you survived the Boston Marathon!(おめでとう、ボストンマラソンを生き延びましたね!)とあった。このメッセージは大変なイベントを乗り越えた時によく使われる「頑張ったね!」というような慣用句で一般的には何も問題のないメッセージ。

しかし、これは3名死亡、250人以上が負傷したボストンマラソン爆破事件を経験したボストンマラソン参加者には送ってはいけなかったのです。言うまでもなく、多くの人が気分を害し、アディダスはすぐに謝罪を発表したが、時すでに遅し。

Photo by Startup Stock Photos: https://www.pexels.com/photo/woman-looking-at-macbook-7361/

マーケティング大失態を招かないためには?

さて、大企業も起こしてしまうマーケテイング大失態事例をご紹介しましたがどうすればこのような事態にならずにすむのでしょうか?

1.当たり前のようで怠ってしまう「チェック」プロセス。

コンテンツを作成して公開するときは、コンテンツを十分に監視できるようにするプロセスを構築すること。「公開」「送信」をクリックする前にテキストを校正できる編集者を通すことで2重チェックを怠らないようにしましょう。

2.マーケティングセンスの敏感度チェックを!

キャッチーなメッセージやキャッチコピーを考えたとしてもメッセージの背後にある影響を常に考慮すること。面白おかしく物事を書く際やジョークを書く際には、あらゆる角度と視点からジョークを見て、聞いて確認すること。

3.社会情勢、世間背景をチェック

大きな企業のキャンペーンとなると数か月も前からキャンペーンプロジェクトが始まっており、突然起こった社会的事件に対応は難しいということはもちろんありますが、それでも情報を受け取る立場にとっては関係のない話。その時の社会情勢や背景をチェックした上で不快なメッセージや広告を発表しないこと。

以上最低3つは必ず守る。そして守れるような社内プロセスを持ってマーケティングキャンペーンを行いましょう。

Photo by Startup Stock

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