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  • Writer's picturePrism ラスベガス

米最高裁でソーシャルメディアの未来が変わる

今週アメリカ最高裁は「ゴンザレス対グーグル」裁判の審理を開始。

この裁判は、ソーシャルメディア企業がそのアルゴリズムによってユーザーにおすすめしたコンテンツに法的責任を負うことができるかどうか、また編集機能(表示または撤回するかどうかを決定するなど)に従事する場合の責任のみを制限を問うものかを判断するもので、今後のソーシャルメディアのあり方に大きな影響を与える注目の裁判。


「ゴンザレス対グーグル」とは


発端は、テロ組織ISISに所属する武装集団が、パリ全土で6回の組織的な攻撃を行い、130人を殺害した2015年11月の事件。当時23歳の学生だったノヘミ・ゴンザレスさんは、このテロで死亡した唯一のアメリカ人。その後、彼女の家族は、動画プラットフォームYouTubeのアルゴリズムがテロ集団のコンテンツを促進、犯行グループによる事件に至ったとして、YouTubeを所有するGoogleを訴えた。



グーグル側の反論は?


グーグルは、アルゴリズムを使ってコンテンツを選別、推薦することは「真正の出版」(つまり、昔からある新聞や雑誌と同じ)であり、ユーザーがインターネットを利用するために必要なこと。(つまり、昔からある新聞や雑誌と同じ)よって230条で保護されていると主張している。


この裁判、この230条により下級審ではグーグルの保護が守られている。





ソーシャルメディア企業を保護する第230条とは

アメリカには1996年に制定された米国連邦法「電気通信法」(Telecommunications Act of 1996)。230条ではウェブサイトプラットフォームが一般に公開する第三者のコンテンツに関してウェブサイトのプラットフォームに免責が与えられている。


つまり、シンプルに説明すると、ティックトックやインスタグラムのようなソーシャルメディアプラットフォームにはユーザーが投稿するコンテンツに関しては責任を負わくてよい。というもの。


「ツイッター対タムネ」


同じく今週最高裁では「ツイッター対タムネ」の審議が始まっている。これは2017年にイスタンブールで起きたISISの攻撃で死亡したナウラス・アラサフさんの遺族による訴え。遺族は、ツイッターへのアクセスがカリフォルニア州の反テロ法に違反、ISISに「実質的な援助」を与えたと主張。そしてTwitterがテロリストの投稿を禁止するために十分に努力しなかったとツイッターの責任を問うもの。


渦中の「第230条」行く末は?

6月末頃まで結果が見えないこの裁判だが、このソーシャルメディアを保護する「第230条」揺るがされれば、今後ティックトックやインスタグラムのようなソーシャルメディアはリコメンド(推薦)するアルゴリズムを修正、もしくは廃止しなければならなくなるかもしれない。


また、もし今回の裁判でこの保護が撤廃されれば、ソーシャルメディア企業は配信するすべてのコンテンツにおいてその責任を負うことになり、コンテンツによって悪い影響を得たユーザーから絶えずその原因となるコンテンツを配信したことについて責任を問われることになる。


アルゴリズムで楽しい、ユーザーがアプリを利用し続けるコンテンツを推薦することで売上を上げているソーシャルメディア企業にとって、アルゴリズムの使用停止となれば売上は減、そして免責という保護がなくなれば数々の訴訟から無防備な状態に・・。


今後繰り広げられる裁判の内容はソーシャルメディアだけではなく、

インターネットの将来を左右することになると注目を浴びている。








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