アメリカ駐在員・日本企業必見!2025年トランプ政権「大きくて美しい」法と確認すべきキーポイント
- Prism ラスベガス
- 24 時間前
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とにかく内容が広範囲で膨大なトランプ政権の「大きくて美しい」法
One Big Beautiful Bill Act(略称:OBBBA)。
今回はここだけは確認しておきたい、送金税・SALT控除からギャンブル控除まで、アメリカ進出企業や駐在員、にとって気になる新ルールをピックアップ。
2025年トランプ税制改正「大きくて美しい」法
One Big Beautiful Bill Act(略称:OBBBA)とは
One Big Beautiful Bill Act(略称:OBBBA)は、2025年7月4日に成立したアメリカの「連邦法」。
トランプ政権の重要政策を反映し、税制・社会保障・環境・移民などの幅広い分野での大規模な改正が一つの法律に盛り込まれた内容で、条文は300以上、ページ数にして870ページ。
日本のニュースでは「減税法」とまとめて報道されることが多いようですが、この法律はひとえに「減税」だけではなく、所得税・法人税・投資減税の恒久化と拡充、一方で環境・医療・福祉の支出縮小、移民政策の厳格化、国境・国防などへの歳出増額など歳入確保措置も含まれている多方のパッケージ法です。
【要注意】この法案はアメリカ議会で議論が続く中、幾度と変更改訂が行われました。その為、ソーシャルメディアやニュースによっては最終版には含まれていない内容が報道されていることが多くあり、アメリカ国内でも大きな混乱を招いています。ご自身でまず確認をされる際は必ず、詳細は米国政府公式サイトの最終版PDFを参照ください。
One Big Beautiful Bill Act(略称:OBBBA)は範囲が広く、今後もこれに追従して規制変更や改訂ガイダンスの発行などが行われる為、影響があると思われる方は弁護士・税理士・会計士など専門家への確認をおすすめします。
その内容は?いつから施行?
下記がこの「大きくて美しい」法 One Big Beautiful Bill Act(略称:OBBBA)に含まれている項目を書きだしたものです。ご覧の通り国防から教育ローンの取り扱いから移民関連まで多岐にわたります。
施行日は各分野、条文によって既に施行済のものから2027年以降施行予定のものまで幅広く個々に確認が必要です。
TITLE(分野) | 主な内容 |
TITLE I – Agriculture, Nutrition, and Forestry | 農業・食品・SNAP(低所得層の食料補助)など |
TITLE II – Armed Services | 国防支出(兵器・ミサイル防衛など) |
TITLE III – Banking, Housing, and Urban Affairs | 住宅支援・証券規制など |
TITLE IV – Commerce, Science, and Transportation | 運輸・航空・宇宙計画(NASA関連)・通信 |
TITLE V – Energy and Natural Resources | 石油ガスリース・鉱業・再生可能エネルギー・水資源 |
TITLE VI – Environment and Public Works | 環境支出の削減(グリーン補助金の廃止など) |
TITLE VII – Finance | 税制(個人・法人・国際課税・控除・送金税) |
TITLE VIII – Health, Education, Labor, and Pensions | 教育ローン・Pell Grants・規制緩和・労働 |
TITLE IX – Homeland Security and Governmental Affairs | 国境警備・移民取締り・政府運営 |
TITLE X – Judiciary | 移民・難民関連の手数料、法執行資金、裁判所支援など |
アメリカ駐在員・日本企業が確認すべきキーポイント
ここからは具体的に日本からアメリカへ事業・送金・駐在する場合に関係する条文・ルールをピックアップします。
(新法=One Big Beautiful Bill Act(略称:OBBBA))
🏢 米国に子会社・支店を持つ場合のビジネス税制
該当条文
✅ TITLE VII – Finance ✅ Section 70301–70354(国際税務)
要点
減価償却関連
Certain property(特定資産)の即時償却や償却上限の延長・拡大。
国際課税ルール
CFC(Controlled Foreign Corporations)ルール(Subpart Fの見直し、GILTIの修正)、BEAT、FDII、外国税額控除(Sections 70311–70354で規定)。
具体的に、GILTI Inclusionの計算方式や控除割合の改正。
在庫売上の源泉地の扱い
Certain inventory salesを「米国内源泉所得とする」新しい扱い。
利息制限ルール
内国法人の利子控除制限(interest expense limitation)の改正。
💡 ポイント米国に法人や事業所を持つ日本企業にとっては、減価償却のタイミング、海外所得の課税方法(GILTIなど)、在庫売上の源泉地課税、利息控除制限などに変更が生じ、税務計画・移転価格に直接影響しますので専門家に要確認です。上記の多くの改正は「2026年1月1日以降に開始する課税年度から有効」とされています。
🏡 「SALT(州・地方税控除)控除上限」(SALT Cap)
該当条文
✅ TITLE VII – Finance ✅ Section 70104
要点
州・地方税控除上限 10,000ドル(いわゆる「SALT Cap(SALT控除の上限)」)
SALT控除とはアメリカ納税者が「住んでいる州や市に払った税金を連邦税から引ける仕組み」
現行法(Internal Revenue Code Section 164(b)(6))で設定されている、SALT控除上限は10,000ドル。新法ではこの上限は2025年で終了予定でしたが 2033年末まで延長となります。
💡 例:ニューヨークやカリフォルニア州への赴任で州税が多額でも、SALT控除の上限は2033年まで10,000ドル。
📦 de minimis threshold(小額輸入免税枠)の制限
該当条文
✅ TITLE VII – Finance ✅ Section 70603
要点
現行法では、海外から米国に輸入する商品の免税上限額(de minimis threshold)は800ドルだが、
新法ではこの上限額を400ドルに引き下げとなります。
また、以下の特定貨物は金額に関わらず免税対象外となる規定が条文に記載されています:
Section 301対象品(対中関税の対象品など)
アンチダンピング関税・相殺関税の対象品
💡 ポイント:法律成立から30日経過以降に通関する貨物から適用とされています。よって、2025年8月3日以降に通関される貨物から適用対象となります。
💡 例:日本から米国へEC商品を直送する場合、400ドルを超えると関税申告が必須になります。また、特定品目(中国製部品など)が含まれる場合は金額に関係なく免税できません。
💸 海外送金税
該当条文
✅ TITLE VII – Finance ✅ Section 70604
要点
米国から海外への送金(Remittance Transfer)に対して、送金額の1%が税金として課される
但し、下記からの送金する場合は免除
FDIC保険付き銀行(Bank of America、Wells Fargoなど)
Money Services Business (MSB) として登録済の業者(Wiseなどの送金会社)
💡 ポイント:詳細ルール申告方法や免除確認は今後財務省が規則で定める予定
🎰 ゲーミング(カジノ関連)損失控除に制限がかかる
該当条文
✅ TITLE VII – Finance ✅ Section 70114
要点
ギャンブルでの損失控除上限について、現行法では「ギャンブル収益まで全額控除(100%)」が可能でしたが、改正後はギャンブル収益の90%までに制限されます。
また、経費控除の取り扱いについて、これまで判例によって「関連経費を含む」とされていましたが、改正後は条文で経費を明確に含むと規定されます。現行では「経費も一緒に控除に入れていいかは曖昧だった」が、新法ではギャンブルに関連する経費は「入れて良い」と条文でハッキリさせたということです。
💡 例:ラスベガスでのギャンブル損失を税務申告で控除する場合、上限が厳しくなるので注意が必要です。
💡 ポイント:2025年12月31日以降に開始する課税年度から適用となります。これについてはネバダ州議員から対抗法案が提出される予定ですので今後何らかの変更がある可能性あり。
🛂国境取締・入国管理費用の増額
該当条文
✅ TITLE IX – Homeland Security and Governmental Affairs✅ Sections 90001〜90007
要点
国境取締予算増額、入国管理、関連インフラ整備に必要な支出の拡充。
不法入国対策の強化を目的とする旨が規定されています。
💡 ポイント:将来的影響条文には直接「ビザ審査基準を厳格化する」とまでは書かれていませんが、予算拡充により審査体制の強化が見込まれる内容です。
📝 移民関連手数料・難民申請の改正
該当条文✅ TITLE X – Judiciary✅ Sections 100001〜100205
要点
新法により各種申請・審査の運営資金・徴収方法(移民関連手数料)が変更される予定です。
具体的に、新たな特別手数料(surcharge)を移民申請・ビザ申請・難民認定申請に加算する条項があります。ただし、手数料の具体的な金額は明示されておらず、金額や料率は「Department of Homeland Security(国土安全保障省)および移民局が規則で別途定める」とされています。
💡 ポイント:
条文には「駐在員ビザやその他非移民ビザへの手数料適用も含まれる場合がある」と明記されていますので今後国土安全保障省や移民局からの発表の確認要です。
さいごに
さて、今回は「アメリカ駐在員・日本企業必見!2025年トランプ政権「大きくて美しい」法と確認すべきキーポイント」として、先日成立した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」についてお届けしました。本新法は、アメリカ税制や送金ルールが大きく変わる注目の改正です。
内容範囲が膨大な法律なので、今回はアメリカに関連する日系企業、駐在員さんや個人の方々に関連しそうなポイントをピックアップしました。「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」ではこのほかにもたくさんの要項がカバーされていますので、気になるポイントは早めにチェックをお勧めします。
また、今回の記事はアメリカでビジネスをする私たちも要チェック項目があり、是非いつも本ブログを読んでくださっている方々にもご参考になれば、とお知らせトピックとして書いたものですので、「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」に関する詳しい対応は最新情報を確認しつつ、専門家にご相談ください。
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