アメリカ消費者や市場関係者のリアクションを確認したり、競合製品の調査やネットワーキングの場として業界展示会はとても効果的なビジネスの場所。そんな好機会でのビジネスチャンスを逃さないための展示会出展者が抑えておくべきアメリカで展示会に出展する際に必ず抑えるべき5つのポイントをご紹介します。
アメリカで展示会に出展する際に必ず抑えるべき5つのポイント
①「日本」ブランディング以外はアメリカうけを狙う
「日本」を強調するブランディング戦略を持つ出展者以外はアメリカ消費者、来場者うけを狙ってブースや備品を準備すること。日本の芸術や文化を元にする製品で「日本企業」であることをブランディングすることをマーケティング戦略としている場合、世界の人が見て一目で「日本」とわかってもらえるデザインを起用することはとても重要。他のブースとの差別化要素も大いにあるでしょう。
しかし、そうでない場合は日本、つまりアメリカから見た海外企業であることが時には来場者の興味をあまりひかないことになることもあります。
アメリカンの傾向としてビジネスの場面で面倒、時間がかかりそうなやり取りは避けることが多く、とっても特殊な製品やサービスで自分が興味がない限り、言語の壁や時差、コミュニケーションの壁がありそうな海外企業は避ける傾向があります。手っ取り早い地元のアメリカの会社を好ということですね。
よって、「日本からやってきてこれからアメリカへ売り込むんです」という姿勢よりは「アメリカ企業としてアメリカ市場に売り込む」という構えでアプローチもとても重要です。
具体的には
ブースデザイン
日本のようにコーポレートな、プロフェッショナルに見える綺麗なカラーやデザインにこだわるよりは文字は少なく、目立つデザインに。現地の傾向がわかるブースデザイン会社さんやマーケティング会社を採用して希望を元にデザインオプションを出してもらうのが良いです。
また、アメリカの一般企業には「展示会マーケテイングコーディネーター・マネージャー」という仕事があるほど展示会専門知識を持った担当者が展示会マーケテイングを担当します。ブースデザイン、設計、備品手配、設置者手配など片手間ではできませんので準備は余裕をもって行ってください。
最近の流行りとしては展示者対来場者というテーブルを隔てたやり取りよりは展示者とお客さんが座りながら話ができる、ラウンジエリアを構えたカフェ風な構え。コーヒーやドリンクをふるまうのも◎ いずれにしても「何」を「どう」見せるのかターゲットを明確にしてブースデザイン、設計をしましょう。
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アメリカで展示会に出展する際に必ず抑えるべき5つのポイント
② 展示会マーケティング
ブースに置くパンフレットや映像もアメリカン来場者うけをするには文字を少なく、簡潔に。現地の担当者やマーケティング会社に作ってもらうローカライズした英語のものを用意することをお勧めします。日本で英訳をした「資料」や文字の多いパンフレットはNG。「?」な英訳資料はマイナス効果につながります。
薄い紙のプリント物を配布、手で折りたたんだようなパンフレットを配布される企業さんがありますが、これはできるだけ避けましょう。少々コストはかさみますが、厚めのしっかりとしたプロ印刷されたパンフレットをご用意することをお勧めします。アメリカンマーケティングは「ブランドイメージ」が重要です。
ブースアシスタント
また、ブースで来場者を呼び込み、英語で来場者とやり取りができ、来場者とワイワイ盛り上がった会話ができる現地のヘルプを雇うというのもとても効果的。海外からの企業さんは言語の壁もあってか少々控えめで受け身気味。反対にアメリカン企業のブースのスタッフは「Hello!」と大きな笑顔でよびこみが上手です。(アメリカンのスタッフの中にもシャイな人はいますのでブーススタッフを雇う際にパーソナリティチェックが重要です) 。
マーケティンググッズ
また、日本の「お寿司消しゴム」や日本のお菓子といった日本アイテムを配られる企業さんが多くいらっしゃいますが、その場で喜んでもらえても会社名と全く関係ないものを渡しても意味がありません。マーケティンググッズは来場者をよろこばせる配る「おまけ」ではなく、しつこく自社のブランドロゴや会社名を目に留まらせるツール。何のアイテムを配るにしても必ず会社名、ウェブサイト、ロゴなどを目立つ場所につけましょう。日本から持ってきたりするのも大変でしょうからそういった場合は私も利用している4imprint®社などのマーケティンググッズ会社さんを利用しましょう。(4imprintさんはカスタマーサービスがすばらしいです)。
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アメリカで展示会に出展する際に必ず抑えるべき5つのポイント
③来場者はフィルター、フィルター、ふるいかける
展示会は長くて3日ほど。2日目の午後から3日目は客足は途絶えます。そして興味がある来場者は1日目~2日目に来訪。他の展示企業の気合も2日目午後には衰退します。そんな長くて短い展示会で「無駄」を防ぐために来場者をフィルターすることも重要です。
傾向として我々日本からだけではなく他の国からの海外展示者にもよくみられるのですが、一人一人の来場者に丁寧に対応をしようとするが為、一来場者の会話にはまってしまいその来場者との会話を切れず、他10名の通りかかって展示品をみる興味がありそうな来場者とのコンタクトのタイミングを逃すという場面。
また、日系の企業さんで以前聞いたお話は「本社からの偉い方がこられていたので対応で来場者を逃す。」というとんでもないお話。
プライオリティは来場者。何人に製品を紹介して、何人と名刺交換、何人から製品へのフィードバックをもらえるかが勝負です。
超重要なチャンスをもたらすビジネス相手との会話はむやみに切ることはもちろんできませんが、展示会の目的にそぐわない来場者との会話はご挨拶をしてウェブサイトが掲載されているカードや名刺を渡したらすぐに「Thank you very much !」と切る。 (会社に興味は全くないが大きなカバンを抱えて景品のみ集めるひやかし屋さんもたくさんいるので、そんな時は時間を無駄にせずお水のボトルやロゴ入りグッズを用意しておいてそれらを丁寧に渡して次へ)
来場者は「お客様」ですが、展示者だって高額をかけてビジネスをしているんです。
展示会にかかったコストを展示会時間に計算してみてください。
一人一人、平等に、丁寧な対応をする時間はありません。
もし、人数に余裕のある場合は「専門の担当をご紹介します」とキャッチオール対応できるような展示会アシスタントを用意しておき、重要な相手ではない場合はその人に対応を流しましょう。時は金なり、展示会ではフィルター、フィルターで来場者をふるいかけましょう。
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アメリカで展示会に出展する際に必ず抑えるべき5つのポイント
④次ステップへのつなぎを忘れない
展示会は3日限りですが、ビジネスチャンスはその後に広がります。
展示会後への次のステップへのつなぎを忘れないようにしましょう。
LinedIn (アメリカで主流のビジネスSNS)で会社プロファイルや個人プロファイルをあらかじめ作成、その場でLinkedIn でつながる
名刺だけでも確保すること。重要な相手の場合はその場でEメールを聞き取り、スマホから自分のコンタクト情報をメール。アメリカンの間ではよく、カジュアルにその場で相手の電話にテキストメッセージで自分の情報を送ることもよくあります(アメリカではLINEはつかわないので電話番号で送るテキストメッセージが主流)
来場者バッジは必ずスキャン。時間がないが、後でコンタクト、後日マーケティングメールを送るためにとっても必要。
ラスベガスで毎年開催される金融カンファレンスMoney20/20
アメリカで展示会に出展する際に必ず抑えるべき5つのポイント
⑤その場でアクション「では後日」はNG、採用活動も
展示会だからといってその場で商談ができないわけではありません。
「では後日・・」なんてありえません。その場で契約も当たり前のアメリカ展示会。
重要なチャンスだと思ったら後日へ延ばさずその場でランチへ。ドリンクへ、ディナーへ。当日そのままMTGをしましょう。「先方も忙しいだろうから」といった体裁は必要ありません。先方がNOと言わない限り展示会開催中にアクション!
アメリカ展示会では大体、展示会オープン前日のイベント、開催中のレセプション、各社が開催するイベントが多くあり、開催者がネットワーキングできる機会が盛りだくさんに用意されています。少々高額(参加費用10万円以上)の展示会となるとランチ、スナック、カクテルエリアなどといった飲食エリアも用意されていて、多くの展示者、来場者がネットワーキングを行います。折角の機会を逃さないようにしましょう。
展示会へは遠方から来ている決裁権を持つエグゼクティブも多くいます。普段なら外部から容易にアプローチできない決裁権を持つ人物と気軽に接触、製品やサービスを直接プレゼンする機会、MTGを設けることも可能
ラスベガスで開催されたMoney2020の休憩xMTGエリア
休憩時に隣に座った人とネットワーキングを
また、展示会の用途は自社のマーケティングだけではなく、「優秀な人材確保」という面もあります。アメリカへ進出する企業さんならアメリカ現地の人材を発掘する必要がありますが、これも普段ならエージェントに依頼したり、オンラインで採用募集をしたりといったステップが必要ですが、展示会では現在働いている企業での様子をうかがい、気になる人材にコンタクトをすることも可能です。有能な人材サーチの場にはもってこいです。
今回は折角高額費用をかけて展示会に出展するのであれば必ずおさえておきたい5つのポイントをお届けしました。
決断力の早いアメリカン企業と展示会でうまく交渉できればその場で大型契約も日常茶飯事。そんなチャンスを逃すことのないよう、次回の展示会で是非ご参考にしてください。