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大阪カジノ「MGMリゾーツ」2025年第2四半期報告書を読み解く

  • Writer: Prism ラスベガス
    Prism ラスベガス
  • 4 days ago
  • 6 min read

MGMリゾーツの最新の業績と今後への取り組みを解説


前回の「大阪IRカジノ運営「MGMリゾーツ」とは:概要編」に引き続き、今回はMGMリゾーツ・インターナショナル(以下、MGMリゾーツ)の最新の業績と、今後の成長を牽引する未来戦略についてみていきます。


「MGMリゾーツ」とは


「MGMリゾーツ」は、ラスベガスに本社を置き、世界中でカジノやホテル、エンターテイメント施設を運営する企業です。ニューヨーク証券取引所に上場(NYSE: MGM)ラスベガスの「ベラージオ」や「MGMグランド」のような有名なカジノホテルをはじめ、アメリカ各地やマカオにも施設を展開しており、オンラインゲーム事業も手掛けています。そして、日本ではオリックス株式会社と共同出資、2030年秋ごろに日本で初めてのIR(統合型リゾート)カジノを開業する予定です。それでは、この巨大企業が最近どのような状況で、これからどこに向かおうとしているのか、見ていきましょう。


事業エリア


アメリカ国内外でのIRカジノリゾートと、オンラインゲーミング(デジタル事業)を運営。


米国国内

ネバダ州ラスベガスに「アリア」「ベラージオ」「コスモポリタン」「MGMグランド・ラスベガス」「マンダレイ・ベイ」「ルクソール」「ニューヨーク-ニューヨーク」「パークMGM」「エクスカリバー」といったIRカジノリゾートを運営。ラスベガス以外ではミシガン州デトロイトの「MGMグランド・デトロイト」、メリーランド州の「MGMナショナルハーバー」、マサチューセッツ州の「MGMスプリングフィールド」、ニュージャージー州アトランティックシティの「ボルガータ」、ニューヨーク州ヨンカーズの「エンパイアシティ」、オハイオ州の「MGMノースフィールドパーク」、ミシシッピ州の「ボー・リバージュ」なども運営。


国際展開

MGMチャイナ(MGM China Holdings Limited):MGMリゾーツが約56%の支配持分を保有しており、マカオで「MGMマカオ」と「MGMコタイ」の2つのIRカジノリゾートを運営。


MGM大阪

大阪で統合型リゾート開発を進めており、50%の持分を保有する非連結関連会社。


デジタル事業

LeoVegas:グローバルなオンラインゲーミング事業を展開する連結子会社。

BetMGM:北米のオンラインスポーツベッティングおよびゲーミングを提供する非連結関連会社。


Photo by Paul IJsendoorn

最新の業績ハイライト

2025年6月までの3ヶ月間と半年間

MGMリゾーツは、2025年6月までの直近の四半期および半年間の業績を発表しました。

全体として売上は増加しているものの、利益面では一部の要因により課題が見られます。同時に、日本やニューヨークでの大規模プロジェクトなど、将来に向けた積極的な投資戦略を進めていることも見受けられます。


連結売上高


■ 2025年4月~6月の3ヶ月間(第2四半期)の売上高は、前年同期比で2%増加し、約44億ドル。

  (1ドル155円換算で3ヶ月間で約6,820億円)


■ 2025年1月~6月の半年間(上半期)の売上高は、前年同期とほぼ同じ約86.8億ドル。

  (1ドル155円換算で半年間で約1兆3,454億円)


この売上を押し上げたのは、主に以下のビジネスエリア:


MGMチャイナ(マカオ事業)

マカオのカジノの売上が好調で、3ヶ月間で9%増、半年間では3%増と、大きく貢献。これは、カジノゲームの賭け金が増えたり、VIP顧客のカジノでの勝率が上がったりしたためです。


アメリカ国内の地方リゾート事業

ラスベガス以外のアメリカの地方にあるMGMリゾーツの施設も好調で、3ヶ月間で4%増、半年間では2%増でした。これは、スロットマシンでの賭け金やテーブルゲームの賭け金が増えたことが主な理由です。


MGMデジタル(オンラインゲーム事業)

オンラインカジノやスポーツベッティングなどのデジタル事業も伸びており、3ヶ月間で14%増、半年間では8%増。


ラスベガスの主要リゾート事業

一方で、ラスベガスの主要リゾート事業の売上は、3ヶ月間・半年間ともに4%減少。


*参考情報ですが、2025年8月現在ラスベガスでは物価高騰や、入国規制強化政策などにより国内外からの観光客が減少している傾向にあります。こちらも多少影響していると思われます。


利益


■ 営業利益は、3ヶ月間で5%減の約4億ドル、半年間では11%減の約7.9億ドル。

  1ドル155円換算で3か月間で約620億円、半年間で 約1,224億5,000万円


■ 純利益は、3ヶ月間で約4,895万ドル、半年間で約1億9,750万ドル。

  1ドル155円換算で 約75億8,000万円、半年間で約306億1,000万円


主に、カジノにかかる税金や、最近完了した設備投資(ホテル改装など)による減価償却費の増加が原因です。

一方、2023年に発生したサイバー攻撃問題(MGMのホテルリゾートやカジノのシステムがハッキングされた問題)に関連して、半年間で約5,600万ドル(約82億円)の事業中断保険金を受け取っており、これが利益の減少を一部補っています。


Pixabay

事業ハイライト


オンラインゲーム事業の収益性


オンラインゲーム事業は売上を大きく伸ばしていますが、新しいブランドを広めるための費用が多くかかっているため、3ヶ月間で2,600万ドル、半年間で6,000万ドルの赤字となっています。これは、今後の大きな成長を見越した「先行投資」と捉えられています。


MGM大阪カジノ開発への巨額投資


MGM大阪カジノ開発プロジェクトに対し、MGMリゾーツは2025年6月末時点で、今後4年間で約26億ドル(約3,800億円)もの資金を投じる計画があります。これは、MGM大阪という共同事業会社への出資の一部であり、プロジェクトの進捗によって資金拠出の時期や金額は変動する可能性があると予想されています。また、MGMリゾーツはこのプロジェクトの建設が完全に終わり、開業までの資金供給を保証しています。


ニューヨークでのゲーミング施設計画

ニューヨーク州で商業ゲーミング施設(カジノなど)のライセンスを取得することを目指しており、2025年6月には正式に申請を行っています。このプロジェクトには、ライセンス費用5億ドルを含め、合計で約23億ドルの費用が見込まれています。


デジタル事業のさらなる強化

オンラインゲーミングのLeoVegas(レオベガス)や、スポーツベッティングのBetMGM(ベットMGM)といったMGMデジタルブランドをさらに拡大し、この分野でのリーダーシップを確立することを目指している様子で、今後も投資を続けるエリアとされています。




今後も期待のMGMリゾーツ


MGMリゾーツは、ラスベガスの主要リゾートで売上が一時的に落ち込むという課題に直面しながらも、マカオのMGMチャイナ、アメリカ国内の地方リゾート、そして特にオンラインゲームのMGMデジタル事業の成長によって、全体的な売上を伸ばしています。デジタル事業は現時点では大きな投資による赤字ですが、今後の成長の柱として期待されています。


また、日本やニューヨークのような新しい巨大市場への進出、そしてオンラインゲーム事業の拡大という二つの柱で、将来の安定した成長の基盤を築こうと精力的に取り組んでいることがわかります。今後これらをどのように成長を加速させていくのか、MGMリゾーツの今後の動きに注目です!


今回は大阪カジノ「MGMリゾーツ」2025年第2四半期報告書を読み解く」をお届けしました。



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