ラスベガス・ストリップ カジノ市場2026年 主要グループと最新動向|IRカジノビジネス解説 第7回
- Prism ラスベガス

- 6月15日
- 読了時間: 13分
はじめに
IRカジノビジネス解説シリーズ第7回では、プリズムソリューションズが本拠を置くラスベガスのカジノ市場をご紹介します。前回解説したシンガポールIRとは全く異なる雰囲気と構造を持つラスベガスですが、日本のIR開発においてもMGM大阪の親会社がラスベガスを本拠とするMGMリゾーツであるように、アジアのカジノ産業と深く結びついた市場です。そこで今回はラスベガスの「ストリップ」(カジノ街)エリアに焦点を当て、どのようなカジノが存在し、誰が経営しているのかという基本的な全体像をお伝えします。
【注】本記事はIRカジノ事業にご興味のあるビジネス関係者向けに各市場の概要をお届けする目的で執筆しています。あくまでも参考情報としてご覧ください。2026年6月時点での情報です。
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ラスベガス・ストリップとは
ラスベガスのカジノ産業(カジノ運営だけでなく、ホテル、レストラン、エンターテインメント、コンベンションなど幅広い関連産業を含める)は直接・間接的にラスベガス経済の約30〜40%を支えていると推計されています。そして、その巨大産業の中心地が、ラスベガス・ストリップ(Las Vegas Strip)です。
ラスベガス・ストリップとは、ネバダ州ラスベガス南部を走る全長約6.7キロのラスベガス大通り(Las Vegas Boulevard South)沿いに、世界有数の大型カジノIRリゾートが集積するエリアを指します(下記写真はその中心エリア)。世界中の人々が「ラスベガス」と聞いて思い浮かべる象徴的な地域であり、世界最大級のカジノリゾート市場が形成されています。

ラスベガスでカジノが合法化されたのは1931年。当初は個人経営の小規模施設が中心でしたが、1990年代以降にMGMリゾーツやシーザーズエンターテインメントなどの大企業による大型リゾート開発が加速。2025年のラスベガスストリップの年間カジノ総売上高は約88.2億米ドル(1ドル150円換算で約1兆3,200億円)に達しています。
ラスベガスとシンガポール・アジアIRはどう違う?
同じ「IRカジノ」でも、ラスベガスとシンガポールは市場の構造が大きく異なります。シンガポールは政府が2施設のみに免許を限定し、MICEとカジノを組み合わせたビジネス層向けの高収益モデルを確立しています。一方ラスベガスも免許制ですが、施設数制限はなく、30施設以上が自由競争を繰り広げるカジノ集積地であり、観光・エンターテインメントを軸に幅広い層の集客を競っています。下記に両市場の違いを簡単に比較しました。ちなみに、ラスベガスにはこのストリップ以外にもダウンタウン地区、その他郊外などのカジノ市場が存在します。
項目 | シンガポールIR | ラスベガス・ストリップ |
施設数 | 2施設のみ(法律で限定) | 大型施設だけで約30施設以上 |
競争環境 | デュオポリー(2社独占) | 自由競争(社数制限なし) |
カジノの位置づけ | IRの一部 | カジノ(主体)+IR施設 |
規制主体 | シンガポール政府(GRA) | ネバダ州ゲーミング委員会 |
自国民入場規制 | あり(入場料制度) | なし |
主要ターゲット | ビジネス・MICE・観光 | ビジネス・観光・エンターテインメント |
知っているようで知らない:主要グループの全体像
ラスベガスを訪れた日本人の多くが「ベラッジオ」「シーザーズパレス」「MGMグランド」などの施設名は知っていますが、これらが実はいくつかの大グループに集約されていることは知らない方も多い事実です。例えば、ストリップの大半はMGMリゾーツとシーザーズエンターテインメントの2大グループが運営しており、その他にウィン・リゾーツ、ヴェネチアン・リゾート、リゾーツ・ワールドなど独立系の大型施設が続きます。下記にメジャー企業とそれらが保有するカジノ施設をご紹介します。
① MGMリゾーツ・インターナショナル
(MGM Resorts International)(NYSE : MGM)
ストリップ最大のカジノ運営グループです。日本ではMGM大阪の開発、運営会社として知られています。1993年のMGMグランド開業以降、2000年にスティーブ・ウィン氏のミラージュ・リゾーツ(Mirage Resorts)を約64億米ドルで買収、2005年にマンダレイ・リゾートグループを買収など積極的な買収と合併を繰り返しストリップ最大勢力となりました。
施設名 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
ベラッジオ(Bellagio) | 1998年 | 3,933室 | 噴水ショーが有名。元ウィンのオーナーのスティーブ・ウィン氏が開発、2000年にMGMが買収。 |
アリア(ARIA) | 2009年 | 4,004室 | シティセンターの中核。最先端のデザインと設備で有名。 |
コスモポリタン (The Cosmopolitan) | 2010年 | 3,027室 | 若い世代に人気のスタイリッシュなリゾート。2022年にMGMが買収。 |
MGMグランド(MGM Grand) | 1993年 | 4,762室 | 米国最大級のホテルカジノのひとつ。巨大なライオン像が目印。 |
マンダレイ・ベイ (Mandalay Bay) | 1999年 | 3,309室 | 大型コンベンション施設と人工ビーチが特徴。 |
ニューヨーク・ニューヨーク(New York-New York) | 1997年 | 2,024室 | 自由の女神象が有名。ニューヨークのスカイラインを再現したデザイン。 |
パーク MGM(Park MGM) | 1996年 | 2,700室 | 2018年全面リニューアル。 (旧モンテカルロ) |
ルクソール(Luxor) | 1993年 | 4,407室 | ピラミッド型の外観で有名。 |
エクスカリバー(Excalibur) | 1990年 | 3,981室 | 中世ヨーロッパをテーマにしたファミリー向け施設。 |

② シーザーズエンターテインメント
(Caesars Entertainment)(NASDAQ: CZR)
シーザーズエンターテインメントの起点は、1966年に実業家ジェイ・サーノが古代ローマをテーマに開業した「シーザーズパレス」です。フランク・シナトラやエルビス・プレスリーがショーを行った伝説的なカジノホテルとして知られており、ラスベガスを代表する施設のひとつです。
その後シーザーズパレスは複数回の売却を経て、2005年に当時カジノ最大手だったハラーズエンターテインメントに約93億米ドルで買収され、ハラ―ズは社名を「シーザーズエンターテインメント」に変更。しかし2006年末、米投資ファンドによる約310億米ドルの大型買収(借入による買収)で過剰債務に陥り、また2008年のリーマンショック後の景気悪化も重なり経営悪化。2015年には主要子会社が連邦破産法の適用を申請しました。その後数年にわたる再建を経て、2020年に米ゲーミング会社エルドラド・リゾーツが約173億米ドルで買収し、現在に至ります。尚、2026年5月には、テキサスの実業家ティルマン・フェルティッタ率いるFertitta Entertainmentによる約176億米ドル(約2兆6,400億円)での買収に合意しており、再び所有者が変わる節目を迎えています。
施設名 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
シーザーズパレス (Caesars Palace) | 1966年 | 3,976室 | ローマ帝国をテーマにした代表的施設。 |
パリス・ラスベガス (Paris Las Vegas) | 1999年 | 3,672室 | パリモチーフ。エッフェル塔が目印。 |
ハラーズ・ラスベガス (Harrah's Las Vegas) | 1973年 | 2,526室 | ストリップ中央に立地。 |
フラミンゴ(Flamingo) | 1946年 | 3,460室 | ストリップで最も歴史ある施設のひとつ。 |
ホースシュー・ラスベガス(Horseshoe Las Vegas) | 1973年 | 2,056室 | 旧MGMグランドとして開業、その後旧バリーズ、2022年にホースシューへ名称変更 |
ザ・リンク (The LINQ Hotel & Experience) | 2013年 | 2,256室 | ハイ・ローラー観覧車隣接。 (旧インペリアルパレス) |
プラネット・ハリウッド (Planet Hollywood) | 1966年 | 2,496室 | 旧アラジン、2007年プラネットハリウッドとして開業。 |
ヴァンダーポンプ・ホテル | 1979年 | 188室 | ストリップ唯一のブティックホテル。 (旧ザ・クロムウェル) |

③ ウィン・リゾーツ(Wynn Resorts)(NASDAQ:WYNN)
ストリップ最高級ブランドのひとつ。創業者のスティーブ・ウィン氏(2018年に辞任)が1989年にミラージュを開業しただの「カジノ」ではなくカジノを「エンターテインメントリゾート」にするという概念をラスベガスに持ち込んだ先駆者として知られています。その後トレジャーアイランド(1993年)、ベラッジオ(1998年)を開発し、これらを含むミラージュ・リゾーツを2000年にMGMに売却。2005年にウィン・ラスベガスを開業し、現在はウィン・マカオも運営するグローバルな高級カジノ企業として世界最高水準のリゾートブランドを維持しています。
施設名 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
ウィン・ラスベガス(Wynn Las Vegas) | 2005年 | 2,716室 | ラスベガス最高級リゾートのひとつ。隣接のアンコールとは内部通路でつながっている。 |
アンコール (Encore) | 2008年 | 2,034室 | ウィンに隣接するラグジュアリーホテル。 |

④ VICI Properties & Apollo Global Management (NYSE:VICI・APO)
ラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands Corp. NYSE: LVS)の創業者シェルドン・アデルソン氏が開発、運営(1999年〜2022年)。その後2022年に約62.5億米ドル(約9,375億円)で売却。現在は土地と建物をVICI Properties(不動産投資信託)が所有し、運営はプライベートエクイティ会社のアポロ・グローバル・マネジメントが担当しています。現在ラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands Corp. NYSE: LVS)は社名にはラスベガスをあり、本社もラスベガスではありますが、所有するのはマカオとシンガポールの施設のみです。
施設名 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
ザ・ヴェネチアン(The Venetian) | 1999年 | 4,049室 | イタリア・ヴェネツィアをテーマ。 全室スイートで有名 |
ザ・パラッツォ(The Palazzo) | 2008年 | 3,068室 | ヴェネチアン隣接(直結)カジノホテル |

⑤ ゲンティン・グループ(MYX: 3182)
マレーシアの上場企業ゲンティン・グループが運営。シンガポールのリゾート・ワールド・セントーサ、マレーシアのゲンティン・ハイランドと同じグループです。
施設名 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
リゾーツ・ワールド・ラスベガス(Resorts World Las Vegas) | 2021年 | 3,506室 | ヒルトン・コンラッド・クロックフォーズの3ブランドを擁する。 |

⑥ フォンテーヌブロー・ラスベガス(Fontainebleau Las Vegas)
フロリダ州の老舗高級ホテルブランド「フォンテーヌブロー」のラスベガス進出。Fontainebleau DevelopmentとKoch Real Estate Investmentsが共同所有。
施設名 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
フォンテーヌブロー・ラスベガス(Fontainebleau Las Vegas) | 2023年 | 3,644室 | マイアミ発祥の高級ホテルブランド。 |

⑦ その他(個人オーナー・独立系)
施設名 | オーナー・運営 | 開業年 | 客室数 | 特徴・備考 |
トレジャーアイランド (TI) | フィル・ラフィン (個人オーナー) | 1993年 | 2,885室 | スティーブ・ウィン氏が開発、その後MGMが買収、その後現在のオーナーが買収。海賊テーマのリゾート。 |
サーカス・サーカス | フィル・ラフィン (個人オーナー) | 1968年 | 3,770室 | 2019年MGMから現オーナーが買収。サーカスがテーマ。屋内テーマパーク「アドベンチャードーム」を有する。 |
ザ・ストラット | ゴールデン・エンターテインメント | 1996年 | 2,427室 | ストラトスフィアタワーのカジノホテル。タワー頂上にある絶叫マシンが名物。 |
サハラ・ラスベガス | メルエーロ・グループ (個人オーナー) | 1952年 | 1,614室 | 2019年全面リニューアル。 |
カジノ・ロワイヤル | トム・エラーディ (個人オーナー) | 1978年 | 152室 | 小規模独立系カジノ。 |

賃貸カジノ?ラスベガスストリップの特徴
「土地と運営の分離」という仕組み
ラスベガスのカジノビジネスで特徴的なのが、土地・建物の所有と運営が分離されているケースが多いことです。
MGMリゾーツやシーザーズエンターテインメントが運営する多くの施設では、土地・建物を不動産投資信託(REIT)が所有しており、カジノ企業はREITに対して賃料を支払いながら運営を行っています。
ラスベガス・ストリップでは「VICI Properties」がストリップ上の11施設の不動産を所有する「ラスベガス最大の地主」のひとつです。具体的にはシーザーズパレス、ハラーズ、MGMグランド、マンダレイ・ベイ、ルクソール、エクスカリバー、パークMGM、ニューヨーク・ニューヨーク、ザ・ストラット、ザ・ヴェネチアン、現在建設中のハードロックなどの不動産を所有し、各カジノ企業に賃貸しています(2026年4月時点)。なおベラッジオはブラックストーン(Blackstone)が不動産を所有するなど、施設ごとに所有構造は異なります。
2026年最新動向
歴史的転換期を迎えるラスベガス・ストリップ
2026年、ラスベガス・ストリップは超大型買収・新施設建設・プロスポーツ誘致が同時進行する歴史的な転換期を迎えています。10年前に訪れたという方はラスベガスの変化に驚かれるのではないでしょうか。それくらいラスベガスは変化を続けています。ここで2026年最新動向をお知らせします。尚、これらは現在進行中のものが多く、随時情報は新しくなっていきますのでここでは2026年6月の現状の参考までにお読みください。
① シーザーズエンターテインメントの買収(2026年5月)
テキサスの実業家ティルマン・フェルティッタ率いるFertitta Entertainmentが、シーザーズエンターテインメントを約176億米ドル(約2兆6,400億円)全額現金で買収することを発表。シーザーズのラスベガス・ストリップ8施設とフェルティッタ氏が既に所有するラスベガス地区のカジノホテル「ゴールデン・ナゲットカジノ」などを統合した約60施設規模のカジノグループが誕生する見込みです(買収については規制当局の審査中です)。
② MGMリゾーツへの買収提案(2026年6月)
メディア・投資会社People Inc.(ピープル(People)誌を発行する米国最大の出版会社を保有する企業)がMGMリゾーツの未保有株式(73.9%)を1株48.30米ドル、総額約180億米ドル(約2兆7,000億円)で買収する提案を発表しました。People Inc.はすでにMGMリゾーツ株の26.1%(約29億米ドル相当)を保有しており、取締役会にも2席を有しています。
①のシーザーズエンターテインメントの買収とこのMGMの2件が成立すれば、ラスベガス史上最大級の所有権変更となる大きな動向です。
③ ハードロック・ラスベガス:ギターホテル建設中(2027年開業予定)
火山ショーで有名だった旧「ミラージュ」で進む大型建設プロジェクト。フロリダ州のセミノール族が経営するハードロック・インターナショナルが建設中のギター型ホテルタワーは2026年5月に建設の重要マイルストーンを達成。客室3,700室・スロット2,000台・テーブルゲーム200台を擁する大型IRとして2027年の開業を目指しています。同セミノール族は日本IRでは北海道IRに興味を示しています。
④ MLBスタジアム+カジノ複合開発(2028年開業予定)
旧トロピカーナカジノホテルの跡地では米大リーグ(MLB)アスレチックスの新球場建設が進んでいます。アスレチックスは2028年シーズンより本拠地をラスベガスへ移動、ラスベガス初の米大リーグ(MLB)として活動を始める予定です。米カジノゲーミング企業Bally's Corporation(バリーズ・コーポレーション)がMLBアスレティクスの新球場(33,000席・約20億米ドル規模)と同じ35エーカーの敷地を共有する形で、3,000室のホテルタワー2棟、カジノ、飲食、小売施設を含む大型複合IRリゾート「バリーズ・ラスベガス」の開発を計画しています。
⑤ NBAラスベガス拡張チーム誘致(2026年3月)
米プロバスケットボールリーグのNBA理事会が全会一致でラスベガスとシアトルへの拡張チーム探索を承認しました。入札額は1チームあたり70億〜100億米ドル(約1兆500億〜1兆5,000億円)規模で、2028〜29年シーズンからの参入が目標です。ラスベガスにとって今回のNBA誘致は、2017年のNHL(ラスベガス・ゴールデンナイツ)、2018年のWNBA(ラスベガス・エース)、2020年のNFL(ラスベガス・レイダーズ)、2023年のF1(ラスベガス・グランプリ)、2024年のMLB(アスレティクス)に続く6つ目の主要スポーツイベント誘致となります。かつて「ギャンブルの街」として知られたラスベガスは、今や主要プロスポーツが揃う全米屈指のスポーツ・エンターテインメント都市へと急速に変貌しています。
まとめ
ラスベガス・ストリップは約6.7kmのエリアにMGMリゾーツ・シーザーズエンターテインメント・ウィン・リゾーツなどが運営する30以上の大型カジノリゾートが集積する世界唯一の市場です。シンガポールの2施設独占モデルとは対照的な完全自由競争市場であり、2026年現在は超大型買収、新カジノ施設建設、主要プロスポーツの相次ぐ誘致が同時進行しており、ラスベガスはカジノ都市からエンターテインメント・スポーツ都市へとさらなる進化を続けています。
プリズムソリューションズでは、ラスベガスを本拠地とするカジノ・ゲーミング業界の専門家として、最新の市場動向に基づいたIR参入・事業開発に関するコンサルティングをご提供しています。お気軽にお問い合わせください。
参考資料:AGA商業カジノGGRレポート、l他各種報道、各社公式発表より


