アメリカソーシャルメディアでは片手に香水、もう片方の手に一つ38ドルするスキンケア製品を持って大手コスメ店舗を颯爽と闊歩する「SEPHORA(セフォラ)の10歳児」が話題に。
「SEPHORA(セフォラ)の10歳児」
事の発端はアメリカ大手コスメチェーンSEPHORA(セフォラ)の従業員のTikTokへのグチ投稿。
自身が働くセフォラに訪れる10歳ほどのとても小さなお客様の乱暴な商品テスターの取り扱いや、店員に対するわがままな態度、驚く買い物金額に「一体最近の10歳児はどうなってるの??」と投稿。
コメント欄には・・・
「うちのセフォラも10歳児がいっぱい、テスターや商品がめちゃくちゃにされたのよ」
「今日アンチエイジングスキンケアをお買い上げの10歳児が来たわ!」
「○○はどこなのよ?って店員さんに対してとても態度わるいのよ」
「私でも高くて買えない香水をお取り置きして買っていったわ。私が10歳の時なんで匂い消しゴムで喜んでたのに」
「10歳児にアンチエイジングスキンケアなんて必要なのかしら?」「店を荒らすのなら年齢制限が必要よ」
という驚きと怒りの声もちらほら。そして一瞬にしてTikTokはあちらこちらの店舗で見かけられる通称「セフォラの10歳児」と呼ばれる若い10歳~15歳児の行動動画や「出没」エピソードでいっぱいに。
挙句の果てには人気皮膚科医がソーシャルメディアで
「果たして10歳児がアンチエイジンスキンケアを使用すべきか」と解説をする動画を投稿するまでに。
10歳児の経済効果
そんな大人たちの投稿はもちろん当の10歳児のお客様へも届き・・・ソーシャルメディア効果でこれまでセフォラに行っていなかった10歳児も「話題」のセフォラへ殺到。実際、私の自宅近くのセフォラ店舗にも以前は見かけなかった10歳~13歳ほどのお客様がたくさん増えました。
そんな(通称)セフォラ10歳児のお客様の御用達ブランドはソーシャルメディアで人気になった
「Drunk Elephant(ドランクエレファント)」というスキンケアブランド。価格帯は1点約30ドル~140ドルほど。中でも超人気なのはお肌が日焼けしたかのようにキラキラ瑞々しく見える用になるメイク下地で、お値段38ドル。
そんな若いお客様の支持もあり「Drunk Elephant(ドランクエレファント)」2023年には超人気ブランドに、売上も好調。怒りと驚きの大人たちを横目に・・・
10歳児のお客様はちゃんと「両親のお金」を使って経済効果を生み出しているのです。
(そう、10歳児の両親は2024年のアメリカで一番の経済力を持つ主要消費者であるミレニアル世代)
アメリカのティーンの消費力は強い
半年毎に調査発表をするパイパーサンドラー社によるティーン(対象平均年齢約15歳)調査によると
ティーンの年間消費金額合計は約2,316ドル(約34万円)
女子はコスメ、スキンケア、香水に約324ドル(約4万8000円)を消費
2022年11月にAdvanced Dermatologyが1,000人以上を対象に行った調査によると、アメリカ成人は毎年平均722ドル(約10万円)をコスメ、スキンケアなどに消費するという結果もあるので成人女性に比べてもティーンのコスメ、スキンケアの年間消費額は大したもの。
アメリカ大手コスメチェーンSEPHORA(セフォラ)を騒がす10歳のVIPお客様は大切なお客様
セフォラを訪れるティーンがみなお行儀が悪いわけではないのですが、ソーシャルメディアでは良いところも悪いところもどんどん大げさにひろがります。
テスターがぐちゃぐちゃにされたり、そのおかげでテスターが店頭から消えたり、気持ちよくゆっくりと買い物ができない、という成人客の中には「16歳以下は大人同伴入店ルール」を作るべき、行儀の悪い子供はどんどん「入店お断り」するべきという声もありますが・・・
セフォラにすればどんどんソーシャルメディアで拡散、「話題」の商品を両親に買ってもらうティーンはVIP。
無差別にお子様入店拒否をすると両親層の顧客も失ってしまいます。10歳児と言えども、大切なお客様なのです
一時期の話題ともいえるこの「SEPHORA(セフォラ)の10歳児」騒動。沈着するでしょうか。
私もそんな「SEPHORA(セフォラ)の10歳児」騒動の真っただ中、最近セフォラが年会費を払えば利用できる「無料当日配達」サービスを展開開始。店頭での買い物を避けたいお客様にはアマゾンよりもっと早い「即時配達」。こういった手段を提供してみんなが気持ちよくショッピングができるようにしていくんでしょうね。今後小売店もどんどん工夫が期待されます。
今、話題のアメリカ大手コスメチェーンSEPHORA(セフォラ)を騒がす10歳のVIPお客様についてお届けしました。