【2025年最新版】ラスベガスだけじゃない全米のカジノビジネス
- Prism ラスベガス
- Jun 17
- 10 min read
Updated: Jun 18
「アメリカのカジノってラスベガスだけ?」と思われがちですが、そうではありません。2025年現在、全てのギャンブル(カジノ・宝くじ・スポーツベット含む)を全面禁止しているのはユタ州とハワイ州の2州だけ。その他の47州とワシントンDCでは、なんらかの形式で合法なギャンブルが存在します。
本記事では、ゲーミング産業とは何か?その種類、法律、そして日本のIRとの違いまで、わかりやすく解説します。
※為替レートは1ドル=145円で換算(2025年時点の想定相場)。数字はアメリカンゲーミング協会の情報から
【2025年最新版】アメリカのゲーミング産業とは?ラスベガスだけじゃない全米のカジノビジネス
アメリカのゲーミング(カジノ)産業とは?
「ゲーミング」とは、カジノだけではなく合法的な賭け事全般を指します。
アメリカでは「Gambling(ギャンブル)」よりも中立的な言葉として「Gaming(ゲーミング)」が法律・ビジネス用語で広く使われています。また、アメリカで「ゲーミング」とは、カジノに限らず、州政府や連邦政府のもとで合法化された賭け事全般を指します。
「ギャンブル」という言葉は、どちらかといえば日常会話や時には否定的な文脈で使われることが多く、制度やビジネスの領域では、「ゲーミング」という中立的な表現が法律用語や業界用語として広く使われています。
2025年現在アメリカの合法ゲーミング内容
♦ 47州+ワシントンDCで何らかのゲーミングが合法
♦ 40州でスポーツベッティングが合法(内34州がオンライン許可)
♦ 27州でカジノが合法
♦ 29州でトライバルカジノが合法
♦ 7州でオンラインゲーミング(iGaming) が合法
※スポーツベット(スポーツベッティング)はスポーツに賭ける行為
※トライバルカジノとは先住民(ネイティブアメリカン)の部族が運営するゲーミング(詳細後述)。州につき、複数のトライバル区域が存在する場合あり
※オンラインゲーミングはInteractive Gaming インタラクティブゲーミングを略してiGamingとも呼ばれる
アメリカ全体規模は約10兆円、最大市場はラスベガス
2024年における、カジノ、スポーツベッティング、オンラインゲーミング(iGaming)を合わせたアメリカ全体のゲーミング売上は年間700億ドル(約10兆1,500億円)を超え、過去最高を記録しました。
これは、2021年の500億ドル(約7兆2,500億円)、2022年の600億ドル(約8兆7,000億円)という成長を経て、さらに大きく伸びた結果です。最大の市場は皆さんもご存じネバダ州ラスベガスで年間売上はなんと150億ドル(約2兆1,750億円)を超えます。ネバダ州だけで全米のゲーミング売上の20パーセント以上を占めています。
2024年 アメリカカジノ市場別売上ランキング
※2024年度のカジノ施設がある市場の売上ランキング
ランキング | 地域名 | 州 | 売上(2024年) |
1位 | ラスベガス・ストリップ | ネバダ州 | 87.18億ドル(約1.26兆円) |
2位 | アトランティックシティ | ニュージャージー州 | 28.24億ドル(約4,095億円) |
3位 | シカゴランド(イリノイ/インディアナ) | イリノイ州/インディアナ州 | 22.45億ドル(約3,255億円) |
4位 | ボルチモア~ワシントンD.C.周辺 | メリーランド州/ウェストバージニア州 | 20.78億ドル(約3,014億円) |
5位 | クイーンズ/ヨンカーズ | ニューヨーク州 | 15.81億ドル(約2,292億円) |

アメリカのゲーミング産業とは?ラスベガスだけじゃない全米のカジノビジネス
前述の通り、2025年現在、全てのギャンブル(カジノ・宝くじ・スポーツベット含む)を全面禁止しているのはユタ州とハワイ州の2州だけ。その他の47州とワシントンDCでは、なんらかの形式で合法なギャンブルが存在します。
各州はそれぞれ独自の法律、ルール、税制、運営モデルを持っており、「アメリカ型カジノ・ゲーミング」の形はさまざま。観光型、地域密着型、スマートフォンだけで完結するオンライン型など、さまざまなスタイルのカジノが全米各地に広がっています。
全米のカジノビジネス事例
州名 | 特徴 |
ネバダ州 | カジノと言えばラスベガス。観光、IR型リゾートが集まり、世界有数のカジノ売上を誇る。観光客用カジノ施設もあれば地元密着型カジノもあり。一方で宝くじはない。 |
ノースカロライナ州 | 2024年にモバイルスポーツベッティングを合法化し、急成長中。 |
ミシガン州 | オンラインゲーミング(iGaming)とスポーツベッティングの両方に対応済み。地方部でもスマホだけで遊べるスタイルが一般化。 |
ニュージャージー州 | 全米で最も早くオンラインゲーミング(iGaming)を合法化。ラスベガスに次ぐカジノ街アトランティックシティでも有名。 |
ペンシルベニア州 | オンラインゲーミング(iGaming)とモバイルベッティングが合法。税収も急増中。その他カジノもあれば宝くじもある実はゲーミングの先進州。 |
イリノイ州 | 大都市シカゴを中心にカジノを拡大。高い税率で州の財政を支えるゲーミングモデルを採用。 |
※オンラインゲーミングはInteractive Gaming インタラクティブゲーミングを略してiGamingとも呼ばれる。

トライバルカジノ(ネイティブアメリカンカジノ)とは?
アメリカにおける「トライバルカジノ」とは、先住民(ネイティブアメリカン)の部族が運営する合法的なカジノのこと。これは、1988年に制定された連邦法「インディアン・ゲーミング規制法(IGRA)」によって、部族の経済的自立と自治の一環として認められているカジノ運営。
トライバルカジノの主な特徴
合法区域は部族の居留地内に限定
州政府と協定(コンパクト)を結び、それに従い部族が運営
カジノからの収益は教育・医療・住宅など部族の福祉に貢献するという決まり。
現在、全米で約240の部族が500以上の施設を運営し、年間売上は約6兆円規模。トライバルカジノではラスベガスやアトランティックシティなどのカジノにあるスロットマシンなどとは違うスペックの機種の取り扱いがあったり、部族ごとにカジノ規制が違ったりするので特殊な面もあり、毎年大きなトライバルカジノ専門展示会も開催されます。

巨大に成長したトライバルカジノの実例
アメリカのトライバルカジノの中には、すでに“地方の小さなカジノ”という枠を超え、世界水準の統合型リゾート(IR)規模と機能を備えた施設も存在します。下記に代表的なトライバルIRカジノをご紹介します。
♦モヒガン・サン(コネチカット州)
運営:モヒガン族(Mohegan Tribe)
設備:スロット6,500台、テーブルゲーム約300台、ホテル、アリーナ(最大10,000人収容)、ショッピングモール
年間来場者:900万人以上
アメリカ国内でもトップクラスの売上と集客力を誇り、韓国・カナダにも進出中。いまや「部族経営」という枠を超えたグローバルIRブランドへと成長。
♦フォックスウッズ・リゾート・カジノ(コネチカット州)
運営:マシャンタケット・ペコット族
設備:カジノフロア10万㎡超、複数のホテル棟、アウトレットモール、MICE施設(国際会議場・展示場)
「全米最大級のトライバルカジノ」として知られ、宿泊・買い物・会議・エンタメが揃う本格的な統合型リゾート。地元住民数千人の雇用を支え、コネチカット州の地域経済の中核的存在となっている。
♦セミノール・ハードロック・ホテル&カジノ(フロリダ州)
運営:セミノール族(Seminole Tribe of Florida)
場所: ハリウッド&タンパ(フロリダ州)
フロリダ州の代表的な先住民部族で、 2007年に世界的ブランド「ハードロック・インターナショナル」を買収、ハードロック・ブランドの商標権とグローバル運営権をすべて保有し世界70カ国以上でHard Rock Café(カフェ)Hard Rock Hotel(ホテル)Hard Rock Casino(カジノ)を展開するグローバルIR企業。2021年にラスベガスの「ミラージュ(Mirage)」を買収、現在は同施設を「Hard Rock Hotel & Casino Las Vegas」として大規模改装中。ギター型ホテルタワーを新設予定(2027年頃開業見込み)で、改装後はセミノール族がラスベガスでも初めての部族系IRを直接運営することになる。

アメリカでのゲーミングの種類と提供場所の例
こちらの記事でより詳しく説明していますので是非ご覧ください。
分類 | 内容 | 提供場所例 |
カジノ・IRカジノ(例:大阪IRカジノ) | スロットマシン、ルーレット・バカラなどのテーブルゲーム | ラスベガス(ネバダ)、アトランティックシティ(ニュージャージー)など |
トライバルカジノ | 部族(ネイティブアメリカン)によるカジノ。フォーマットは異なるがスロットマシン、テーブルゲームなど、見た目はカジノと同じ。 | オクラホマ、カリフォルニア、フロリダ、コネチカットなどに巨大カジノあり |
スポーツベッティング | スマホからや窓口でチケットを購入して行うスポーツへの賭け | ネバダ、ニューヨーク、イリノイなど |
オンラインゲーミング(iGaming) | オンラインで楽しむカジノゲーム(PCやアプリ)。スロットマシンやテーブルゲームが楽しめる。 | ニュージャージー、ミシガンなど |
宝くじ(ロト) | 州運営のくじ。日本の宝くじのようなイメージ | 全米(ネバダ、ユタ、アラバマ、ハワイ、アラスカ除く) |

日本のIR(大阪)との違いは?
アメリカと日本では、「カジノの位置づけ」「制度設計」などに大きな違いがあります。アメリカには州や自治区ごとに様々な取り決めがあるので一概に日本IRとの比較は難しいのですが、以下は2025年時点での代表的な相違点をまとめた比較です。
比較項目 | アメリカ(2025年時点) | 日本(大阪IR:2029年開業予定) |
合法の範囲 | 各州が独自に合法化を判断。38州+D.C.で合法。さらに部族(トライバル)も独自に運営可能。 | 国が主導し、事業者・自治体が連携。現時点では大阪のみ。当面「全国1か所」の方針。 |
運営主体 | 民間企業(商業カジノ)または部族(トライバルカジノ)がライセンスを取得し運営。複数社参入が基本。 | 大阪IRはMGM+オリックスのコンソーシアムが単独運営。 |
モバイルベッティング | 多数の州でモバイル(スマホ)によるスポーツベッティングやiGamingが合法化済み。 | 現時点でオンライン・スマホを使ったカジノや賭けは禁止の方針。カジノ施設内でのみのゲーミング行為許可。 |
税制・課税方式 | 各州独自のGGR課税(粗収益課税)を採用。税率はスロットやテーブルゲームごとに異なる。部族は連邦や州と協定し、利益分配も含む。 | 固定税率方式(30%課税が想定)。GGR課税および入場料などから税収予定。国と自治体の配分率も固定。 |
ライセンス・規制 | 各州がライセンスを付与し、独自の監督機関が存在(例:ネバダ州はNGCBなど)。 | 国が事業者を厳格に審査・選定し、国土交通省とIR推進本部が中心に管理・監視する体制。 |
社会的受容・文化的背景 | カジノが観光・エンタメ・地域経済と結びつき、雇用創出や税収源として一定の社会的支持がある。 | ギャンブル依存症への懸念が根強く、国民的理解は進行中。カジノ面積制限、入場制限・本人確認・回数制限など規制が厳しい。 |
施設の役割 | 「ゲーミング」がメインの観光収益に頼る州や自治区も多く、カジノ中心で地域全体を成長させるモデルも多い(例:ラスベガスやトライバルカジノ)。 | 「カジノはIRの一部」という位置づけ。面積はIR全体の3%以内に制限されており、カジノ以外のMICE施設やホテルが主体。 |
ここで重要なのは日本でも問題となっっている「オンラインカジノ」。アメリカでは前述の通り州や自治区によってはインターネットを介する「iGaming(オンラインゲーミング)」が合法化されている州もありますが日本では現在のところカジノ施設へ出向いて行うカジノゲーミング行為以外は違法です。
まとめ
「カジノ=ラスベガス」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際のアメリカでは全米各地にカジノやスポーツベッティング、オンラインゲーミングが広がっています。州ごとの法律や部族によるトライバルカジノなど、多様な形でゲーミングが根づき、年間10兆円規模の一大産業へと成長しました。
そして今、日本でも大阪IR(MGM大阪)開業に向けて準備が進んでいます。制度や文化の違いはありますが、アメリカの事例は日本の参考になる部分もたくさん。観光や地域経済への波及効果、雇用の創出、エンタメとしての魅力──ゲーミング業界の我々としてはこれからの日本型IRに、大きな期待とワクワクでいっぱいです!
【2025年最新版】アメリカのゲーミング産業とは?ラスベガスだけじゃない全米のカジノビジネスをお届けしました。
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