いまさら聞けない「顧客デューデリジェンス」とは

金融機関だけでなく、一般企業にも「顧客デューデリジェンス」は必須。今すぐできるマネロン対策
※マネー・ローンダリングそのものについては、3分でまるわかり!「マネロン」の基本をご覧ください。

よく耳にする「本人確認」だけで、終わっていませんか
取引の前に、運転免許証やパスポートで相手を確認する。これは多くの企業がすでに行っています。
では、その確認が終わったあと、何かしているでしょうか。実は、本人確認は入り口にすぎません。
マネー・ローンダリング対策の要は、その次にある「顧客デューデリジェンス」です。
そしてこれは、金融機関だけの話ではありません。一般企業にとっても無関係ではなく、最低限の顧客デューデリジェンスは、すべての企業が取り組むべきリスク対策です。
いまさら聞けない「顧客デューデリジェンス」とは?
顧客デューデリジェンス(Customer Due Diligence、CDD)とは、その相手と取引してよいかを見極める作業です。本人確認との違いは、問いの中身にあります。
問いかけるのは | |
本人確認 | この人は、名乗っているとおりの人物か、身分証明書のその本人か。 |
顧客デューデリジェンス | 上記で確認をしたこの人と、取引してよいか。 |
身分証明書で本人であることを確認できても、その相手が制裁対象者であれば取引はできません。外国PEPs(重要な公的地位にある者)であれば、通常より厳格な確認が必要になります。取引をしようとするその人が「誰か」を確かめただけでは、「取引してよいか」の答えは出ていない → ここが顧客デューデリジェンスの出発点です。
なぜ一般企業にも必要なのか
「マネロン対策は銀行や証券会社がやるもの」と考えられがちですが、実際にはそうではありません。
たとえば、海外の取引先から商品を仕入れて代金を送金する。海外の顧客に返金する。こうした日常的な支払いでも、相手が制裁対象者であれば、事前に国の許可が必要になります。根拠となるのは外為法(外国為替及び外国貿易法)で、これは金融機関に限らずどの業種にも適用されます。つまり、相手が制裁対象者であれば、許可を得ないまま支払いを行うと法令違反です。
しかも、「知らなかった」は通用しません。相手が制裁対象だと気づいていなくても、規制に触れることはあります。だからこそ、支払う前に確認する必要があるのです。
特に次のような企業は、気づかないうちにリスクを抱えている可能性があります。
海外の個人・企業と取引がある
不動産、貴金属、中古車、アートなど高額商品を扱う
ECやマーケットプレイスで不特定多数と取引する
国際貿易・物流に関わる
金融機関のように監督官庁から詳細な対策整備を求められていない分、何から始めればよいか分からないまま放置されやすいのが一般企業の実情です。だからこそ、まずは取引前に相手の顧客デューデリジェンスを行うことから着手するのが現実的です。

「顧客デューデリジェンス」のよくある3つの誤解
●「本人確認をすれば十分」・・・×誤り
本人確認は、相手がなりすましでないことを確かめる手続きです。その人物が制裁対象者かどうか、PEPsに該当するかどうかは、別に調べなければ分かりません。
●「相手が法人なら関係ない」・・・×誤り
制裁リストもPEPsも、指定されるのは基本的に個人です。法人が取引相手の場合も、代表者や実質的支配者といった「人」まで確認しなければ、リスクは把握できません。
●「取引時一度確認すればとりあえず大丈夫」・・・×誤り
制裁リストは追加も削除も頻繁に行われます。取引開始時に問題がなくても、その後の情勢変化で相手が指定される可能性があります。継続的な確認が必要です。
顧客デューデリジェンスのタイミングと進め方
① 本人確認の直後に行う
身分証明書で本人であることを確認したら、その場で制裁リスト・PEPsの該否までチェックしましょう。ではどこの何をみてどうチェックをすればよいのか・・
② 複数のリストを最新版で照合する
世界共通のリストは存在しません。財務省、国連、米国OFAC、EU、英国OFSIと、それぞれ入手先も更新頻度も異なります。常に最新版で確認しましょう。
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③ 記録を残す
確認したこと自体が、後から証明できなければ意味がありません。いつ、誰を、どのリストで確認したのか。記録として保存しておきましょう。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。
実務対応にあたっては、最新の法令および所管当局の公表資料をご確認ください。




