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いまさら聞けない「制裁リスト」とは

  • 執筆者の写真: Prism ラスベガス
    Prism ラスベガス
  • 23 時間前
  • 読了時間: 5分

ニュースで聞いた「制裁対象に指定」

2026年8月、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が米国政府の制裁対象に指定されたというニュースが流れました。日本人であり、国際機関のトップである人物が、他国の制裁リストに載る。異例の出来事として大きく報じられました。このとき耳にした「制裁対象に指定」「制裁リスト」という言葉。なんとなく意味はわかるけれど、具体的に何が起きているのかは説明しづらい、という方も多いのではないでしょうか。そこで今回はいまさら聞けない「制裁リスト」についてご説明します。


制裁リストとは何か

制裁リストとは、国や国際機関が「この相手との取引を規制する」とする相手を指定したリストです。対象は個人だけでなく、企業、組織や団体も含まれます。リストを公表しているのは日本や米国だけではありません。EU、英国、国連など、世界の多くの国・機関がそれぞれ独自のリストを持っています。例えば、2026年8月27日現在日本のリスト掲載者の中にはタリバーン、アル・カーイダ関係者が掲載されています。


日本では外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、財務省が告示によって対象者を指定します。財務省のウェブサイトでは「経済制裁措置及び対象者リスト」が公表されており、追加・削除のたびに更新されています。


ここで注意したいのが、「日本のリストは日本企業が守るもの、米国のリストは米国企業が守るもの」という思い込みでが、実際には、規制の対象を自国企業に限定していないリストがあります。例えば、米国の輸出管理規則(EAR)の「エンティティ・リスト」。米国の技術や部品を使って日本で製造した製品を第三国へ輸出する場合も規制対象となるため、該当する日本企業は取引前の確認が欠かせません


制裁リストに指定されると、その国の管轄内にある資産が凍結され、入国が禁止され、その者との取引が禁止または許可制になります。国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が米国政府の制裁対象に指定されたケースでも、指定によって在米資産の凍結と米国への渡航禁止という効果が生じています。



制裁リストのよくある誤解:「悪いことをした人のリスト」ではない

テロ組織や関係者が多く掲載されていることや、「制裁」リストという名前から、「犯罪者名簿」のようなものを想像しがちです。もちろん悪いことをする犯罪組織も掲載されていますが、すべての制裁リスト掲載者が「犯罪人・組織」ではありません。


制裁は司法手続ではなく、行政による外交政策上の措置です。裁判で有罪が確定した人が載るわけではなく、政府が自国の政策目的に照らして指定します。テロ組織や大量破壊兵器の拡散関与者が載ることもあれば、今回のように国際機関の要職者が載ることもあります。


① リストは国ごとに違う

米国財務省OFACのリスト、EUのリスト、英国OFSIのリスト、国連安保理のリスト、そして日本の財務省のリスト。これらは重なる部分もありますが、同一ではありません。ある国のリストに載っている人物が、別の国のリストには載っていないことも多くあります。


② 情勢によって増減する

制裁は政策上のツールでもあるので、国際情勢に応じて追加され、また解除されます。財務省のリストにも、追加だけでなく削除の履歴があります。


③ 日本人、日本企業も世界の制裁リスト対象

「制裁リストは外国の話」ではありません。日本人や日本企業が他国の制裁リストに掲載されることもあります。実際、多くの日本企業や団体が中国商務部の軍民両用品目(デュアルユース)の対日輸出規制に関する「禁輸リスト」と「監視リスト」に掲載されています。



「制裁リスト」を実務でどう取り扱うか?

海外の個人・企業と取引がある会社にとって、制裁リストの照合は「知らないうちに制裁対象と取引していた」という事態を防ぐための重要なステップです。悪意がなくても、知らなかったとしても、規制に触れることはあります。だからこそ、取引を始める前に「制裁リスト」を必ず確認しましょう。


「制裁リスト」のチェックのポイント


  1. 自社が見るべきリストを見極める

    日本の財務省リストだけでよいのか。取引先が米国にあるなら、どのリストを参照すべきか。取引先の所在地、決済通貨、扱う製品によって、見るべき範囲は変わります。あわせて、自社や関連会社が他国の制裁リストに掲載されていないかも確認しておきましょう。


  2. 必ず最新版で照合する 

    世界共通のリストは存在せず、入手先も掲載形式もさまざまです。追加も削除も頻繁に行われるため、一度確認して終わりにはできません。定期的なチェックが必要です。


  3. リスト掲載者の関係者もチェックしておく

    確認すべきはリスト掲載者本人だけではありません。掲載者が実質的に支配する法人や、その周辺の関係者まで視野に入れましょう。



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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。

実務対応にあたっては、最新の法令および所管当局の公表資料をご確認ください。

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