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日本IRカジノ事業者が「許可されていること」「禁止されていること」

  • 執筆者の写真: Prism ラスベガス
    Prism ラスベガス
  • 8月18日
  • 読了時間: 10分

更新日:8月20日

2028年秋ごろ日本初、開業目指す日本IRカジノに課せられる規制とは?わかりやすくまとめてみました。


日本初のIRカジノが、ついに現実のものとなろうとしています。しかし、カジノ運営には一般の想像以上に厳しいルールと制約があります。日本IRカジノ規制とはいったいどのようなものなのか。カジノ事業者として、どのような活動が許可され、どのような制限が課せられているのか、分かりやすく解説します。


【注意】ここでお話するIRカジノとは2028年に開業予定の日本で初めての合法なIRカジノ事業のことです。このカジノはお客様がカジノ施設へ出向いてゲームを楽しむ施設型(「ランドベース」ともいう)カジノのことで、オンラインカジノとは関係ありません。現在合法化されているIRカジノにはオンラインカジノは含まれていません。2025年8月時点で日本で合法に開発が進むカジノは2028年初めて大阪にオープンする現在建設中のMGM大阪のみで、それ以外のカジノ行為やオンラインカジノは違法です。


カジノ事業者が「許可されていること」


カジノ事業に関しては「特定複合観光施設区域整備法」、「カジノ管理委員会事務局組織令」、「特定複合観光施設区域整備法施行令」、および「犯罪収益移転防止法」といった厳格な法律によって詳細に規定されています。


カジノ事業者は、カジノ管理委員会から免許を受け、カジノ事業を行うことが許可されています。

これは単にテーブルゲームやスロットマシンの運営だけではなく、多岐にわたる業務を含みます。



カジノ事業免許の取得と事業運営


  • カジノ事業者は、カジノ管理委員会の免許を受けた上で、特定複合観光施設(IR) 区域内でカジノ事業を行うことができます。この免許は3年間有効で、更新が可能です。2025年現在大阪IR区域のみが許可されています。(カジノ管理委員会は内閣府の外局で、カジノの設置や運営が安全・適正に行われるよう監督する組織です)


  • 免許取得後、カジノ施設が法の基準に適合しているかの完成検査に合格しなければ、営業を開始することはできません。施設の構造、設備、業務方法、利用約款、依存防止規程、犯罪収益移転防止規程など、多岐にわたる項目が免許の基準となります。


カジノ行為(ギャンブル)の実施

  • カジノ事業者は、カジノ管理委員会規則で定められた種類と方法カジノ行為を顧客との間で行い、または顧客相互間で行わせることができます。


【現在規定があるカジノ行為の種類】

電磁的カジノ関連機器(計10種別):電子ゲームシステム、 電子テーブルゲームシステム、 ディーラー操作式電子テーブルゲームシステム、 クライアントサーバゲームシステム、 プログレッシブシステム、 トランプシャッフラー、 電子ディーリングシュー、 電子さいころシェーカー、 バウチャー払戻機、 カジノマネジメントシステム


非電磁的カジノ関連機器(計10種別):テーブルゲーム用チップ、 トーナメントチップ、 トランプ、 プリシャッフルマルチデッキ、 ディーリングシュー、 さいころ、 ルーレットホイール、 ルーレットボール、 マネーホイール用ホイール、 パイゴウタイル


  • カジノ行為は原則としてチップを使用して行われ、顧客はチップを現金やカジノ管理委員会規則で定める支払手段と交換することができます。


  • 日本に住居を有しない外国人に限り、クレジットカードを利用してチップを取得することが認められています。


「特定金融業務」の提供

カジノ事業者は、顧客の依頼に基づき、以下の特定金融業務を行うことができます:

「特定金融業務」とは、カジノ事業者がカジノ施設内でカジノ業務に付随して行う、金銭やチップの取り扱いに関わる特定の金融活動を指します。これらの業務は、カジノ管理委員会による厳格な規制と承認のもとで行われます。


        ▪顧客の口座と指定預貯金口座間の資金移動(為替取引)

        ▪ 顧客の金銭を受け入れる業務

        ▪ 顧客に金銭を貸し付ける業務

        ▪ 金銭の両替業務


カジノ行為区画内の関連業務の実施

 カジノ事業者は、カジノ管理委員会の承認を受けた範囲で、カジノ行為区画内での関連業務を行うことができます。(例えば、飲食物の提供やパフォーマンスショーなどの提供)


健全な運営確保のための措置

  • カジノ施設を適正に利用してもらうため、入場禁止対象者を発見し、退去させる措置を講じることが義務付けられています。


  • カジノ業務や関連業務に関する苦情処理のための記録を作成・保存し、適切かつ迅速な処理を図る措置を講じなければなりません。



カジノ事業者が「禁止・制限されていること」


カジノ事業者は、ギャンブル依存症対策、犯罪収益移転防止、青少年の保護、および公正な事業運営を確保するために、非常に厳しい規制と義務を負っています。


カジノ入退場制限

カジノ事業者は、法律によって定められた以下の入場者への制限を徹底し、遵守させなければなりません。

 以下の者はカジノ施設への入場または滞在が禁止されています:


        ▪ 20歳未満の者。

        ▪ 暴力団員。

        ▪ アルコール・麻薬等の中毒者など、カジノ管理委員会規則で定める者。

        ▪ 日本人居住者については、過去28日間の入場回数が10回に達している者

(直近の入場から24時間経過していない場合を除く)

        ▪ 国の推進本部の幹部・職員、基本方針・区域整備計画に関する政府職員、カジノ管理委員会の委員・職員、

 認定都道府県等の職員、カジノ事業者の従業者(特定カジノ業務・カジノ行為区画内関連業務従事者)など   は、カジノ行為を行うことが禁止されています。ただし、カジノ管理委員会の事務局職員が職務遂行上必要な

 調査としてカジノ行為を行う場合は例外とされています。


入場者は、入場時に本人特定事項(氏名、住所、生年月日、写真など)の確認を受けなければならず、事業者はその記録を保存する義務があります。


入場料の徴収と立て替えや補填の禁止

  • カジノ事業者は、日本人居住者である入場者から、カジノ入場前に、国が課す入場料(3,000円)および認定都道府県等が課す入場料(3,000円)を徴収しなければなりません。そして、カジノ事業者は、これらの入場料を立て替えたり、補填したりすることは禁止されています。(例えば「入場料無料キャンペーン!」などは決して行ってはなりません)


チップの譲渡・持ち出し防止の徹底

  • 顧客がチップを他人に譲渡したり、他人から譲り受けたりすること、またチップをカジノ行為区画の外に持ち出すことは禁止されています。事業者はこれらの行為を防止するための措置を講じ、その旨を本人確認区画やカジノ行為区画に表示する義務があります。(例えば、巡回や監視カメラによる監視や他の先進テクノロジーを活用した監視など)


カジノ運営に関する禁止事項

  • 自己の名義を他者に貸してカジノ事業を行わせることは禁止されています。

  • カジノ業務の委託は、カジノ関連機器等の保守・修理、債権取立て、またはカジノ事業の健全な運営に及ぼす影響が少ないと認められる業務を除き、禁止されています。

  • 契約相手方への支払いが、カジノ行為粗収益の額に比例して算出される形となる契約(粗収益比例契約)は禁止されています。


カジノ行為に関する制限

  • 顧客に対し、虚偽または誇大な表示・説明、不確実な事項についての断定的な判断の提供、または誤解を招くような告知は禁止されています。例えば「必ず儲かる!」といった根拠のない断定的な言葉で勧誘する広告。


  • チップの交付は、現金、特定の支払手段(容易に換価可能なもの)、または顧客に提供されたカジノ行為関連景

  品類との引換えに限られ、その他の手段による支払いは原則禁止されています。つまり、チップの交付はカジノ

  で遊ぶ以外禁止。


特定金融業務に関する制限

  • 顧客がチップの支払い、換金、または貸付債務の弁済に充てる金銭以外の金銭を取り扱うことはできません。

  • 顧客から手数料を受領したり、顧客に利息を支払ったりすることは禁止されています。

  • 顧客への金銭貸付には貸付限度額が設定され、それを超える契約はできません。

  • 債権取立てにおいて、威迫行為や私生活・業務の平穏を害する言動(例:不適切な時間帯の電話/訪問、勤務先への電話、債務事実の第三者への開示)は禁止されています。

  • 顧客の信用情報について、返済能力等調査以外の目的での信用情報の提供依頼や利用、第三者への提供は禁止されています。


広告・勧誘に関する規制

  • カジノ事業またはカジノ施設に関して、前述のような「必ず儲かる!」などいった虚偽・誇大な表示や説明は禁止されています。

  • 特定複合観光施設区域外での広告物表示やビラ等の頒布は原則禁止されています(公共交通機関施設内の特定エリアなど、政令で定める施設を除く)。

  • 20歳未満の者への広告・勧誘は禁止されています。

  • 勧誘相手がカジノ施設を利用しない意思を表示した場合、勧誘を継続する行為は禁止されています。

    (これはギャンブル依存症対策の観点からも重要な規制)

  • 広告・勧誘には、20歳未満の者の入場禁止およびカジノ行為に対する依存との関係についての注意喚起を明示しなければなりません。


カジノ行為関連景品類に関する規制

  • カジノ事業者は、提供するカジノ行為関連景品類について、その内容、経済的価値、提供方法が善良の風俗を害するおそれのある基準に該当してはなりません。


従業員の管理

  • 特定のカジノ業務(カジノ行為、粗収益集計、特定金融業務、監視、警備、機器保守・修理、内部監査、財務、勧誘・顧客管理、人事、各種コンプライアンス統括管理業務など)に従事する職員は、カジノ管理委員会の確認を受けなければなりません。(就業前の適正審査を受けるなど。例えば、ネバダ州では州にカジノ従事者として登録が必要です。)

  • 十分な社会的信用を有さない者や、特定の欠格事由(例:犯罪歴、中毒者)に該当する者をカジノ業務に従事させることは禁止されています。(例えば、過去5年に免許停止を受けている者やその関係者、ギャンブル関連、組織犯罪、貸金業法、詐欺・横領など)により拘禁刑または罰金刑を受け、その執行が終わってから5年を経過しない者などは従事はさせてはいけません。

  • 従業員は、業務中にカジノ業務に従事する者であることを証する証明書を携帯することが義務付けられています。


反社会勢力の排除とマネーロンダリング対策

  • 「犯罪収益移転防止法」に基づく特定事業者に該当し、以下の厳格な義務が課せられます

        ▪ 取引時確認:顧客の本人特定事項、取引目的、職業/事業内容、実質的支配者などの確認義務

        ▪ 取引記録等の作成・保存:取引時確認の記録や取引記録を7年間作成・保存する義務

        ▪ 疑わしい取引の届出:犯罪による収益である疑いがある取引や、犯罪行為に該当する疑いがある取引

 を、速やかにカジノ管理委員会に届け出る義務

        ▪ 情報漏洩の禁止:疑わしい取引の届出を行おうとしていることや行ったことを顧客等に漏洩するこ

とは禁止されています。




日本IRカジノ事業者が

「許可されていること」「禁止されていること」


日本IRカジノ施設は、経済効果を追求しつつも、ギャンブル依存症や犯罪といった負の側面を徹底的に排除することを目指しています。そのため、カジノ事業者には、その事業の健全性を確保するための多岐にわたる厳格な義務と規制が課せられています。これらの複雑な法規制を遵守することで、国際競争力のある健全なIR運営が実現されるのですね。今回は日本IRカジノ事業者が「許可されていること」「禁止されていること」をお届けしました。

健全なIRカジノ開業へ向けて、今後も様々な情報をご紹介していきます。


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