ギャンブル依存症とラスベガス、MGMリゾーツの取り組みとは
- Prism ラスベガス
- 2 days ago
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Updated: 1 day ago
大阪IRにおけるギャンブル依存症予防策の参考事例
ラスベガスは世界的に有名なカジノとエンターテイメントの中心地であり、多くの観光客が訪れる一方で、
ギャンブル依存症という深刻な問題も抱えており、行政やカジノ 事業者は運営者の責任として対策に取り組んでいます。中でも、MGMリゾーツはラスベガスでの依存症対策において先進的な取り組みを行っており、その経験を大阪IRでも活かすことが期待されています。今回は、ラスベガスのギャンブル依存症対策規制について、MGMリゾーツの取り組み事例についてお話します。
【用語】
カジノ、スポーツベット、オンラインカジノなどのことを総称して「ゲーミング(Gaming)」
ギャンブル依存症対策のことは「責任あるギャンブル(Responsible Gaming)」と呼ばれています。
アメリカのカジノ業界についてもっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください:
ラスベガスのギャンブル依存症対策規制
アメリカのカジノ、スポーツベッティング、インターネットゲーミングを行う38州およびコロンビア特別区においては、その州や管轄区地域それぞれにギャンブル依存症対策に関する規制が定められています。
ラスベガスがあるネバダ州ではカジノ、スポーツベッティング、オンラインゲーミング(以下、カジノ事業者)などが合法化されています。これらのゲーミング市場年間売上は約150億ドル(約2兆1,750億円)。全米最大のゲーミング市場です。同時に、ギャンブル依存症対策の一部はネバダ州法、およびゲーミング規制によって義務化されています。それではラスベガス、MGMリゾーツの取り組みを見て行きましょう。
自己排除プログラムの設置
(セルフ・エクスクルージョン Self-Exclusion)
1.カジノ事業者は自己排除している顧客から掛け金を受け取ってはいけない。
2.カジノ事業者はクレジットの発行や小切手の現金化、またはギャンブルに関するダイレクトメールマーケティングなどのサービスについて、顧客が希望する場合は顧客自身がこれらのサービスを受けないように自己排除できる自己排除プログラムを設置、内部管理を統制しなければならない。
この自己排除プログラムプログラムには、最低でも下記が必須:
自己排除プログラムの説明資料の作成
顧客が自己排除プログラムに参加するための書面のフォームの作成
チェックの現金化、クレジット発行、ダイレクトメールマーケティング禁止するための基準と手順の準備
自己排除している顧客が禁止しているダイレクトメールなどを受け取ってしまった場合の通知先の準備
3.カジノ事業者は自己排除している顧客がゲーミングに参加しないようにすること。
自己排除した個人の名前、住所、アカウント詳細を含む登録の維持
自己排除した個人(元プレイヤー)のゲーミングアカウントの閉鎖
自己排除した個人が再びインタラクティブギャンブルに従事できないようにする規定を設ける
4.自己排除プログラムのポリシーと手順を強制するための従業員トレーニングを行うこと。
カジノ施設内に表示する情報
カジノエリアやATM付近に、問題ギャンブルの性質と症状、問題ギャンブル支援サービスへの無料電話番号を記載した資料を掲示すること。
事例:ネバダ州のカジノ内ではネバダ州ギャンブル問題評議会(Nevada Council on Problem Gambling)が発行する「When The Fun Stops®」という三つ折りのパンフレットが英語とスペイン語で提供されており、24時間対応のヘルプライン番号が記載されています。

ウェブサイトに表示する情報
オンラインカジノサイトで、ギャンブル開始へつながるウェブサイト画面にはギャンブルが開始できる前の段階で
目立つように自己排除プログラムへの情報を掲載し、顧客が自己排除プログラムに参加できるようにすること。
クレジットカード使用不可
金融機関からゲーム機器またはゲームデバイスへの電子的な資金移動は、クレジットカードは利用不可。
ギャンブル依存症対策基金
ギャンブル依存症対策と予防プログラムを支援するための循環基金がネバダ州によって設置されており、この資金はギャンブル依存症の研究やプログラム開発、予防、治療に使用される。
事例:全米のカジノ関連企業がメンバーの業界団体、アメリカン・ゲーミング・アソシエーション(AGA)でもメンバー企業らがギャンブル依存症対策へ向けて責任を持って行動することを約束する誓約しており、様々な取り組みやイニシアティブを推し進めています。
従業員へのトレーニング
カジノ事業者はギャンブルエリアで顧客と直接対面する全ての従業員に、ギャンブル依存症の性質や兆候についてトレーニングを実施。また、このトレーニングは、Nevada Council on Problem Gambling(ネバダギャンブル依存症カウンシル)によって認定されたものが適切と見なされる。
アルコール飲料制限
アルコールやその他の薬物で明らかに酩酊している人がギャンブル活動に参加することを許可してはならない。
カジノエリアでアルコールやなどで明らかに酩酊している人に対して無料で飲料を提供してはならない。
事例:カジノ内で飲みすぎてテーブルゲームやゲーム機に座ろうとすると直ちにセキュリテイーがきて退去になります。何度も見かけたことがありますが、居眠りをしてもすぐにセキュリテイーが来てゲーム機から立ち上がりゲームエリアから退去となります。バーテンダーさんからも「NO」ときっぱりお酒の提供はお断りされます。

MGMリゾーツの取り組み事例
ラスベガスカジノのリーダー的存在のMGMリゾーツはMGM大阪で日本初のカジノの運営者となります。そのMGMリゾーツがラスベガス(及び他地域)で行っている依存症対策の事例をご紹介します。
GameSense(ゲームセンス)
GameSense(ゲームセンス)は、ギャンブルを安全に楽しむためのギャンブル依存症対策「責任あるギャンブルプログラム」。このプログラムは、カナダのブリティッシュ・コロンビア州宝くじ公社(BCLC)によって開発され、MGMリゾーツや同社のスポーツベット事業であるBetMGMなどの企業と提携して顧客に提供されています。
MGMリゾーツのカジノへ出向くとカジノフロアにGameSense(ゲームセンス)エリアがあり、顧客がいつでも無料で訪れることができるようになっています。「ギャンブルが辞めれれないどうしよう」という質問への対応や自己排除プログラム登録はもちろんのことですが、そこに至るまでにカジノで提供されているゲームがどのような仕組みになっているのか、どのような勝率なのか、「いくら賭ければ幾ら勝利できる」というような「誤った認識」や誤解を解消するべく、カジノでのギャンブルがどいうものなのかという正しい情報を提供しています。
ゲーム依存症対策への研究支援
行動依存症、特にギャンブルやゲーム依存症に特化した精神健康サービスを提供するテレヘルスサービスであるKindbridge Behavioral Health(キンドブリッジ・ビヘイビオラル・ヘルス)のプログラムをMGMのオンラインスポーツベットで、すべてのプレイヤーが専門的なメンタルヘルスサービスに直接アクセスできるようサービスを展開。
また、スポーツベッティングがさまざまな人々に与える影響を研究し、責任あるギャンブル戦略を開発するために、キンドブリッジ研究所に$180,000を寄付など資金支援も行っています。
専門機関による従業員トレーニング
EPIC Global Solutions(エピック・グローバル・ソリューションズ)は、ギャンブルによる有害事象の予防に特化した国際的なコンサルティング企業。ギャンブル業界、スポーツ組織、教育機関、企業などに対し、教育、トレーニング、戦略的アドバイザリーを提供しています。MGMリゾーツはEPIC Global Solutionsと契約し、すべてのBetMGM(スポーツベット)従業員に実体験に基づいたギャンブル依存症の教育セッションを提供、従業員にギャンブル依存症の影響を理解し、適切な対応方法をトレーニングしています。

さいごに
ラスベガスにおける行政やMGMリゾーツの依存症対策は、大阪IRにも活かされるべき重要な事例であり、これらの対策はギャンブルを楽しみながらも、安全で健全な環境を提供するために欠かせない要素です。
日本初のカジノである大阪IR開業予定前にギャンブル依存症とラスベガス、MGMリゾーツの取り組みとは?とギャンブル依存症について知りたいという方も多いのでは?と思い今回は「ラスベガス、MGMリゾーツの取り組みとは?大阪IRにおけるギャンブル依存症予防策の参考事例」をお届けしました。
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